寝起きに一話…。
これは私が実際に体験した話なのですが、
今までしっかり人に話したことはありませんでした。
その場のノリで一部だけ断片的に話すことはありましたが…
大抵「怖い! もうやめて/(^o^)\」と言われるので
詳しく最後まで話したことはありませんでした。
そんなに怖くないと思うのですが…。
幼いころから、たまに「白い手」を見ることがあります。
最近は滅多にないのですが、3~4才ごろから見ていたような気がします。
それがいつも大体同じ場所と時間で、場所は家の寝室です。
もう今は引っ越してしまったのですが一応その家は今もあります。
その家自体がちょっと気持ち悪いと言いますか…
親戚と一緒に三世帯が住んでいた家だったので、かなり大きな家でした。
一階から屋根裏につながっているような不思議な通路があったり、窓のない部屋がいくつかあったり
(ただ、その通路から屋根裏に行くための階段が作られておらず…。
誰に聞いても『入ったことないんだよね』と言っていました)
ただの欠陥住宅だと思っていましたが、元々先祖が暮らしていた古い家に改築を重ねて
よく分からない構造になったそうです。
これは内容にあまり関係ないのですが、風水や占い等に詳しい人に母が聞いてみたところ
「この家はかなりよくない。○○の場所でいつか首を吊る人が出るだろう」
なんて不吉な予言をされたそうです。
母親はそういった占いを信じる方だったのでかなり気にしていましたが、
私を含め、他の家族や親族は全く気にしていませんでした。
話を戻します。
白い手を見る時間は大抵寝起きか寝る前で、寝室のベッドの上を転がっているときに多かったです。
ただ寝ぼけていただけかもしれませんね。
見るときはいつも、ベッドの隅と壁とテレビの間の空間でした。
ベッドの横にテレビが置いてあるのですが、その横にある僅かな□(←左が壁・下がベッドの左端部分・右がテレビの左端部分・上が壁)の空間を覗くと
スっと白い手が私の顔を目掛けて伸びてくるのです。
いつも一瞬の出来事です。
私は本当に驚いたり怖い思いをしたときにはなぜか声が出ないので、
無言で飛び上がって逃げました。
大抵寝起きなので、「寝ぼけてたんでしょ」と言われるだろうと思い
人には話していませんでした。自分自身でも、寝ぼけていたのかなと…少し曖昧だったので。
それからほとんど手を見なくなり、私は小学6年生になりました。
手のことはほぼ忘れてしまったある冬の日、
我が家は火事になりました。
全焼ではなく私の家族が住んでいるスペースだけでした。
寝室の、ちょうど手を見ていたという四角の部分にあるコンセントプラグの差し込み口からの出火でした。
関係ないとは思いますが少し気持ちが悪くて、私は久しぶりに手のことを思い出しました。
私達が住んでいた部分だけは木造住宅ではなく鉄筋だったため、よくニュースで見るような一般的な火事ではなく
中だけが燃えるという感じでした。
改装が終わるまで母親の実家で暮らしていたのですが、
新しくなってからもなんとなく不安でした。
私は事情があって高校生のころにその家を離れることになりました。
そして、またしばらくあの手のことは忘れていました。
大学3年生の冬の出来事です。
私は同じ学部の友人達と、京都へ旅行に行きました。
二日か三日で色々観光した後、寺が好きな友人がいたので某寺院へ行きましたが、
私はその場所にそれほど思い入れがなかったので、お坊さんの話もあまり真剣に聞いていませんでした。
むしろ、法要以外でお坊さんの話を聞いた経験がなかったので
御堂の中で正座をして熱心に話を聞く人達の姿を見て、少し驚いたのを覚えています。
人気のある寺院だったのだと思いますが、平日にもかかわらず御堂はほぼ満員でした。
気になっていたのは、話をしているときからお坊さんが私の方をちらちらと見てくることでした。
なぜか同年代より年上に好かれる傾向にあるので、「まいったなあ」なんて自惚れていました。
話が一通り終わると、友人たちは外の写真を撮ろうと言って出て行きました。
私もそれについて行こうとすると、お坊さんが話しかけてきたのです。
ただ不思議なことに、何を話したかは全然覚えていないのです。
どうでもいい内容だったのかもしれません。
それから私も友人たちと一緒に写真を撮りに行きました。
旅行を終えてから二週間ほど経ったころでしょうか。
写真共有サイトを使い、旅行の写真を渡し合うことになりました。
友人Tの撮ってくれた写真を自宅のパソコンで見ていたとき、
あの寺での写真に目が留まりました。
寺の縁側に三人で座っている写真でした。
私は後ろの壁にもたれかかり、他の友人二人と身を寄せ合って笑っています。
一見普通の写真でした。
しかし、よく見てみると
私の頭の左上に、何か白いものがくっついているのです。
非常に小さく、最初は何か分からなかったのですが、よく見てみると
それは指でした。
後ろから私の頭を包みこむように、指の先が写っているのです。
後ろは壁です。人が入れるはずはありません。
しかもその指は非常に小さく、
なんだか子どもの手のように思えました。
私の身には特に何も起こっていないのですが、昔よく見ていた白い手と
何か関係があるのだろうかと思いました。
忘れたころにやってくるので、最近では忘れないようにしています。
なんだかこんな話よりも、虫(Gです)で非常に怖い思いをしたことがありまして
そっちの方がゾっとするのですが…
このサイトに相応しくないような気がするのでやめておきます。
それから、例の寝室ではしばらく父が一人で寝ていたそうなのですが
以前見に行ったら、リビングに大きなソファを置いてそこで寝ていました。
理由は聞きませんでした。
怖い話投稿:ホラーテラー ボウモアさん
作者怖話