みなさんも、「怪人アンサー」の都市伝説をおききになったことがあると思います。
10人で円をつくるように並び、同時に隣の人の携帯に電話を掛ける。
当然、すべての携帯は電話中となり繋がらない。
しかし、1つだけ、1人だけの携帯は「怪人アンサー」のもとに繋がるという・・・。
ただ残念なことに、この都市伝説は出どころも、創作であることも知られています。
ところが、この体験談はその事実を知る以前、
私が高校生だった頃の話です。
当時、私には特に仲の良い友人が3人いました。
仮にA君、B君、C君とでもしておきましょう。
授業などでグループを作るときも大概この3人と一緒でした。
ある日、ラジオ好きのA君が「怪人アンサー」をためさないかと言い始めました。
おそらく、お気に入りのラジオ番組で紹介でもされたのでしょう。
何を言ってるのやらと思いましたが、どうやら本人も本気で言っているわけではなく、
単純に話のタネにしたかっただけのようでした。
結局他の二人の悪乗りもあり、4人で試すことになりました。
高校生4人が机を囲むように立ち、それぞれの携帯に電話している風景は、
それなりに恥ずかしかった記憶があります。
がっ、とにかく試したのです。
プップップップ・・・・ツーツー・・
当然繋がりません。
他の3人も同じようでした。
その後、未だ通話中の携帯4機を並べ、ふざけた乗りで、
どうして失敗したんどろう?などと軽口をたたき合い、
C君が「そもそも人数が足りんだろ~」と返していたことを覚えています。
そう、確かC君がそう返した次の瞬間だったはずだと。
A君がいきなりビクッと震え、顔面を蒼白にし固まったのです。
こちらまで唖然とするほど唐突な変化で、黙ってしまった私達をよそに、
鳴り続ける携帯の音がやけにはっきり聞こえていました。
そう、未だ通話中を報せている携帯。
その携帯に向かってゆっくりとA君が手を伸ばし、それを耳もとにあて再び固まったのでした。
私が見た感じでは、それまでどの携帯もどこかに通じている様子はありません。
ですが、A君は携帯を耳にあて、何者かの話に聞き入っているように見えます。そして、震える唇を開き会話を始めるのでした。
ただし、どれだけ耳を凝らしても話は聞こえようにありませんでした。
A君が口を動かせども、声は放っていなかったのです。
それは恐怖のあまり、声が出なかったのかもしれません。あるいは・・・。
電話が終わるのも唐突で、A君がいきなり携帯を畳み、そのまま走りさってしまいました。
「怪人アンサー」は電話に出ると、その場にいる全員の質問に答えるそうです。
だが、その見返りに誰か1人に質問してくるといいます。
その質問に答えられなければ体の一部を奪うとか・・・。
家に帰った私は、もしかしてA君はいきなり質問されてしまったのでは、
っと考えたものでした。
次の日、A君は学校を休みました。何でも体調不良だそうです。
ただ、B君も学校に来ませんでした。担任も連絡がつかないようで、どうにも不安な1日でした。
その後A君は普通に学校に出てこられるようになりましたが、
B君を学校で見かけることはもうありませんでした。
また、A君は私とC君を避けるようになりました。
後でわかったことですが、B君はあの日の夜に車に撥ねられ、それ以来意識が戻らないそうです。
それからしばらく経ち、みな大学や就職などでバラバラに分かれていきました。
ですが、私は実家に帰った際、A君と会う機会があり、あのときのことを尋ねたのでした。
分ったことは、A君は実はB君のことが嫌いだったこと、昔いろいろあったらしく、
本当に碌でもない書くに堪えない話なので申し訳ないですが、省きます。
そして電話に、
「だれならいい?」
っとさんざん尋ねられたらしいという事です。
あの時私には聞こえなかった電話の繋がる音が、
A君には聞こえていたのでしょうか。
電話の声の「誰ならいい」は何に対しての「誰ならいい」だったのでしょうか。
そもそも電話の声は誰だったんでしょうか。
疑問は尽きませんが、ここまでとさせていただきます。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話