短編2
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また逢えたなら

どこかで聞いた話…

僕の彼女は手の届かない

場所へ逝ってしまった。

いつも迷惑をかけてばっかりで、

酷い時には彼女に辛く当たったりもした。

いつだって素直になれなかった。

それでも君は僕の側にいてくれたんだ。

まだ僕は君に何もしてやれてないのに…

後悔しても遅かった。

君の意識が薄れていく中、

ただ手を握り名前を呼ぶしか

できなかった。

彼女は最期に

「私幸せだった。今まで

ずっと…ありがとう」

苦しいはずなのに

笑顔でそう言った。

力いっぱい叫んだのに

声にならなかった。

「ずっと愛してる」

彼女が逝き、3ヶ月経った。

雲一つない晴天の日。

ふわっと温かい空気に

僕は包まれた。

彼女のつけていた

香水の匂いがする。

自然と涙が頬を伝う。

「○○なのか?」

僕はそう呟いた。

返事はなかった。

僕も彼女のいる場所へ

逝こうと思った。

君のいない世界に

一人残る気はなかったんだ。

「ごめんな。俺って

弱かったんだな。」

僕は手首を深く深く切った。

君の事だけを想って…

意識が遠退く中

僕はゆっくり目をつむった。

真っ白な場所に僕はいた。誰かが僕の背中を叩く。

振り向くと彼女がいる。

僕の手の届く場所に…

あの頃と変わらない姿で。

僕は彼女を抱き寄せ、

「愛してる。これからも一緒に…」

彼女が言葉を遮った。

「まだ来てはだめ。

私も一緒にいたいけど、

それはできない。

私は大丈夫。そしてあなたももう大丈夫なんだよ。」

僕は馬鹿だった。

彼女は死んでも尚、

僕の事を気遣かっていてくれた。

自分のことばかりで…

最後まで僕は…

彼女が静かに言った。

「ずっと側にいるから」

僕は最後にもう一度、

涙を必死に堪え笑顔で、

「ずっと愛してるよ。またな。」

僕はそう言って抱きしめキスをした。

彼女を離した瞬間、

そこで目が覚めた。

心配そうな顔をして母が僕を見ている。

病院に運んでくれたみたいだ。

母が急に、

「私が病室に来ると○○ちゃんが…あんたの側にいたの。

あんた助けてもらったんだよ!

最後まで迷惑かけてんじゃないよ」

と言ってきた母の目には

涙が浮かんでいた。

僕はずっと忘れない。

君と過ごした宝物のような日々を。

これからも僕の中でその

輝きは消えることはないだろう。

呼んで下さった皆様、

ありがとうございました!

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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