短編2
  • 表示切替
  • 使い方

墓の影

 これは人づてに聞いた話、

所謂「友達の友達」から聞いた話なのですが・・・

 ある片田舎でニュータウン開発計画が持ち上がったことがあるそうです。

都市部からの交通の便が良いわけでもないのに

不自然な開発計画だったそうですが、団地が造られ、

道路の整備なども次々おこなわれたそうです。

 そんな中で高層マンションの建設が計画されたそうですが、

建設予定地に墓地があり、これを他の地へ移動させなければならなかったとか・・・。

 お墓の移動はつつがなく進み、移動の反対をする御遺族のかたも、

ほとんどいなかったそうです。

 ただ1つ、「無縁塚」だけは供養すらされず、取り壊されたようですが・・・。

 さて、高層マンションの建設も順調に進み、それなりの高さまで骨組みができた頃のことです。

 突然のことでした。ニュータウン開発計画が凍結されたのです。

もともと不自然な計画だったのですが、あまりにも唐突な中止だったそうです。

当然マンションの建築も止まり、足場もそのままに放置され、やがて地元の不良が

数名たむろうようになったそうです。

 時も立ち、開発計画が凍結され1年ほどたった頃のことです。

マンションの建築跡地にたむろしていた不良たちが忽然と姿を消すという事件が起きたのは・・・。

 しかし、その時点では日頃のおこないもあってか、誰もが家出だろうと考えていたそうで、

あまり真剣に探されることは無かったのです。

ですが、こんなこともあり、建築跡地に近づく人はいよいよいなくなったのです。

 さらに同時期、こんな噂が流れたそうです。

 「マンションの壁に、お墓の影が出来るらしい」

 

 時が進み、また1年が過ぎようという頃。

1人の少女が犬の散歩中に、建設地の前を通りかかった際の出来事です。

 

 日はほぼ沈み、わずかに残った日光が長い影をつくる中、少女は見たそうです。

 中途半端な高さでそびえる、まだ建設途中の建造物の壁に、

大きな墓の影とこちらを手招きするいくつもの人影を・・・。

 少女が吸い込まれるように建築地に足を踏み入れようとしたときです。

連れていた犬が激しく吠え、その建築地に駆け込んで行きました。

おかげで少女は我に返りその場を逃げ出したのでした。

 次の日、明るくなってから少女は両親と共に犬を探しに戻ってきたそうです。

しかしそこで見付かったものは白骨化した犬の死体と、

かつて失踪した不良達のものと思われる、犬と同じように白骨となった遺体だったそうです。

 拙い文章で失礼しました。この話はここまでです。

 ただ、余談として、あの場所ではいまだ時おり人が消えるとか、消えないとか・・・。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ