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短編2
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蔵の掛け軸

俺のじいちゃんちには古く、大きい蔵がある。

じいちゃんは虫取りに行ったり川に行ったり何でも言うこと聞いてくれるし大好きだった。

でも唯一じいちゃんは蔵に入ることだけは許してくれなかった。

ほこりで咳が止まらなくなるから入るなと言われていた。

そんなじいちゃんも去年死んでしまった。

80過ぎだったので大往生なのかもしれない・・・

葬式の日はじいちゃんちに家族で泊まった。

その夜にふと蔵のことを思い出して親に聞いてみた。

親も蔵にはあまり入ったことが無いとのこと

そこで明日整理もあるし蔵の中に入るからお前も手伝えってことになった!

わくわくして寝たのを覚えている。

次の日、俺が起きる前から親はバタバタしていたので

「蔵の掃除は?」

と聞いたら

「あー・・忙しいから先やってて!」

とのこと

っつーことで頭にタオルを巻いてマスクをしていざ蔵に突入!

思ったより蔵は薄暗くて気味が悪いしやっぱりほこりっぽい。

ついでにクワみたいなでかい熊手みたいないろんな道具がたくさんつめこまれていて歩きにくい!

ダメだこりゃ!って出ようとしたとき壁際にある大きいダンボールの裏になんか掛け軸?みたいのがはみ出ているのを見つけた。

なんでも鑑定団が好きな俺にとっては黙って見過ごすことはできなかった。

ヨイショとダンボールをどけてみたらどうもおかしい、薄汚れてるのはわかるが絵が書かれてない。

どうやら裏返しに掛け軸が壁に掛けられてるようだ。

普通、掛け軸って絵が描いてある方を正面にむけるでしょ?

なんだこりゃ?蔵で誰も来ないから裏にしてんのかなと思い何の気無しにペロってめくってみたんだ。

その瞬間に気づいたよ、これは掛け軸じゃないって、ただの紙だって。

白黒写真なのか新聞なのか切り抜いた人の写真がびっしり張ってあったんだ、壁に!

壁に貼ってある大量の顔、顔、顔!

それを隠すために紙が掛けられていたんだ。

あまりにビックリしてダッシュで蔵を出て親に報告してガクガクしていた。

親も蔵に入り確認したようだがその日は何も言わず蔵を掃除していた。

最近親から聞いたんだが

昔、親が生まれる前じいちゃんが戦争から戻ってきて気が病んでしまい数ヶ月、朝から晩まで蔵に閉じこもっていたってばあちゃんから聞いたことがあると。

もしかしたら戦死した戦友の写真なんじゃないかと言っていた。

そういえば昔じいちゃんが酔っ払って言っていた。

「戦争なんて勝ったって負けたって最前線の兵隊はしんどい思いしかない、友達がたくさん死んで生きているほうが辛いこともあるんだよ」

と・・

でもじいちゃんが生きて帰ってきてくれたからこそ俺が生まれたんだよと、あの世のじいちゃんに言いたい

怖い話投稿:ホラーテラー キヨスさん  

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