短編1
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黒いコートの女

僕が夢で見た話です。悪夢というのはときどきありますが、これは悪夢を見たという話ではありません。

でも何だか気味が悪くて、起きた時にゾクッとしたんです。

僕は駅の構内をあるいていました。混雑した駅で、人波の中を歩いているという感じです。

その時、前から歩いてきた黒いコートの女性と肩がぶつかりました。女性はその衝撃で持っていたカバンを床に落としてしまい、カバンの中身が床に散乱しました。僕は「すいません」と言ってそれを拾おうとしたのですが、そのカバンの中身がすべて“普段自分が持ち歩いている物”と全く同じであることに気付きました。全く同じ…いや。これは間違いなく僕の持ち物だ。何故この女性が僕の物を持っているのだろう?おかしいぞ。

そして、心の中で悟りました“あぁ。これは夢か。夢だからこんな変なことが起こるんだ”

黒いコートの女が僕を睨みつけていました。顔を紅潮させていました。そしてボソッと呟きました。

「何で夢だとわかったの」

以上です。なんとなくですが…彼女は“僕自身が作り出した夢の中の登場人物”ではない様に感じられました。

怖い話投稿:ホラーテラー そばさん  

Concrete
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