友達の嫁から聞いた話です。
彼女がまだ小学生の頃の出来事です。
ある日、彼女の小学校の周りで痴漢が出没する騒がありました。
朝のホームルームでプリントが配られ、注意の呼びかけがありました。
痴漢の出没した場所が生徒の登校路で、道をつかう生徒は教員と集団下校を当面することに決まりました。
彼女もその生徒の一人でした。
そのはずでした。
うっかりでした。
彼女はホームルームの事をすっかり忘れて、放課後学校の近くの友達の家に遊びに行きました。
その頃、学校では再三にわたる内放送の呼び掛け&彼女の自宅(両親不在)への連絡等が行われていたそうです。
日が暮れかかった頃に友達とバイバイして、薄暗い杉の道にさしかかった時、彼女はやっと今朝の話を思い出しました。
彼女は痴漢が出没したって噂の道を、一人で歩いていました。
例の場所に『痴漢注意!!』の看板が立てられていました。
配られたプリントの挿絵の、壁から顔を出す黒いシルエットの人を思い出しました。
同じ様にどこかで痴漢が息を潜めているかもしれませんでした。
でも変にキョロキョロして本当に隠れてる痴漢と目が合ってしまったら、それはそれで嫌だし。
彼女はとにかく下を向いて、早足で歩きました。
すると、人の気配がしました。
ふっと顔を上げると、目の前に人が立っていて、ぎょっとしました。
それは知らないオジサンでした。
「おドォーちゃんこんばヌは?」
「おドォーちゃんこんばヌは!」
「こ、こんばんは」
オジサンはニコニコ嬉しそうに喋るけれど、何となく全体的に汚くて、こんな変な人は見た事がありませんでした。
「おドォーちゃん?○○霊園ってどゴにあヌか知ってヌかナーーー?」
斜めに傾いたオジサンが言うその霊園は、この道のすぐそこ。
だけど、後ろを指差して、「あっち」と答えました。
つけて来られても嫌だし、場所を知らないならバレないはずでした。
すると
「あれーー!!?嘘ついたー!?嘘ついちゃ駄目だよー!!おどーちゃん!?〇×@£☆ヌの!?」
と、何で嘘が分かったのかは知らないけど、オジサンの目が急に血走った目に変わりました。
でもオジサンは私が指差した方へ歩きだし、私を睨みつけながら「嘘つきー!嘘つきー!」と見えなくなるまで叫んでいました。
これで話は終りですが…
彼女曰く
見えなくなるまで見ていないと、オジサンは後ろから走って来そうだった。
オジサンが見えなくなっても、また道のどこかにオジサンがいそうで、その場を動けなかった。
だそうです。
幸いパトロール中のお巡りさんに助けられ無事保護されたそうですが。
それまで彼女は真っ暗闇な杉林の中で一人ずっと泣いていたそうです。
おわり
怖い話投稿:ホラーテラー ハミーポッポーさん
作者怖話