久々の投稿です。
暇な方は読んでやって下さい。
俺が二十歳の頃、大学のサークルで仲良くなった女の子(R)の話。
(注:彼女ではない)
Rはとても活発な子で、俺とは趣味が同じ釣りと言う事もあって、隔週末には他の奴と一緒に、富士五湖や霞ケ浦にバス釣りに行った仲だった。
その日の釣りが終わり、他の奴は眠ってしまった帰りの車の中での話。
R【私さあ、ずっと前から役者になるのが夢だったんだぁ!】
俺【ふーん、そっかぁ。...え? じゃあ、なんで演劇のサークル入んなかったの?】
R【えへ、すごく迷ったんだよね~!釣りも大好きだから.....それに私、緊張しぃなんだよ。】
俺【緊張しぃって、そりゃ役者として致命的でしょ。(笑)】
R【ちょっと、何笑ってんのよ!!失礼しちゃうわね!!】
バシッ!!!
ジーパンの上からだったが、俺の左太腿は真っ赤になってたはずだ。
時は過ぎ、俺達は卒業を迎え、俺はある企業に入社し、Rはある旅行会社に就職した。
それから俺達は連絡をとり合うこともなく、2年が過ぎたある日、Rからの電話が鳴った。
Rの声には元気が無く、力もなかった。
R【私ね...、おかしくなっちゃったみたい。】
俺【なんだ?おい、大丈夫かよ?】
R【大丈夫じゃないよ....心が変なの。
.....もう!どうにも出来ないの...助けてよ!】
俺はすぐに車に乗り、30分かけて一人暮らしのRのマンションへ向かった。
Rの部屋をノックしたが誰も出ない。
ガスメーターが回っているから、中に居ると思った俺は、管理人を叩き起こして鍵を開けてもらった。
Rは居た!
物凄くやつれていて、あまりの変貌ぶりに驚いたが、とにかく大丈夫そうだったので、後の管理人に振り返り、
【すみませんでした】と言った瞬間....
管理人【ああぁ!ああ~危ないっ!!!】
Rは自分の首の頸動脈にカミソリを当てていた。
スッと数センチ引くだけで自殺完了の状態だ!
俺【おまえぇっっ!!!何やってんだぁ!!!】
R【つらいの!つらいの!楽になるの!】
俺【まずちょっと待て! な? 久々に会ったんだしよ! 話をしよう。 な?】
と言うと、あっけなくRはその場に崩れ落ちた。
俺はすぐにカミソリを取り上げ、危険そうな物を全てRの近くから離した。
管理人は警察と救急車を呼ぼうと言ってきたが、俺が後で呼ぶからと帰ってもらった。
俺はRに寄り添った。
俺【あはは、すっげーな? まじ迫真の演技!】
R【・・・。】
俺【なんかさ...、色々あっただろうけど、もう大丈夫だから。】
R【・・・大丈夫じゃないよ。.....心がね? 勝手に死にたがるの。 私は嫌なのに、死ななきゃ、死ななきゃって何かに急かされてるの。 最近は特にひどくって、自分を見失うの。】
俺【うん、でも良かったんだぜ?....もう誰かが側に付いて離れないから、死ぬ事はないからさ...。】
R【うん..、ああ、...でもまた死にたくなってきたら...】
俺【大丈夫!その為に医者がいるんだ! 今、救急車呼ぶからな? 俺が見ても、明らかにお前らしくないから病気だと思うよ。 医学に頼ろう? な?】
そして、R了解のもと救急車を呼んだ。
一緒に病院まで行き、とりあえず医者はRに睡眠薬を飲ませた。
その後、俺と医者で話した結果、明らかに危険な【うつ】状態だと言うのだが、必ず治る病気だから大丈夫とお墨付きを頂いた。
しかし、本人にはくれぐれも色々と聴き出してはダメだと言う。
なんでも、自殺するほどの辛い記憶を思い出させるのは相当危険なので、治るまでは絶対ダメらしい。
俺はその後Rの友達に合い、何か知らないか尋ねた。
その友達から聞いた話。
Rは旅行会社に勤めたまま、演劇の学校に通っていた。
そこでの演技は結構上手で、とんとん拍子に舞台に上がれる様になり、台詞までもらえることになった。
しかし、それからが緊張し過ぎて失敗してしまった。
でも頑張り屋のRは一日の睡眠時間は殆ど無いくらい、練習に励み頑張った。
それが暫く続いたある日、Rは友達に電話をしていた。
R【ねぇ、幽霊って本当にいるんだよ?知ってた?】
友【何言ってるの!R大丈夫なの?】
R【大丈夫じゃないわよ。幽霊が見えるんだもん。おかしいよね? 私、でもこれ現実だよ!】
友達は相当気持ち悪かったらしい。
R【私がね?舞台で失敗した時に聞こえたの。 笑い声が...気味の悪い声が...ヘタクソって、そのうち段々見える様になったの。】
友【もう、やめてよ!何の冗談よ。】
R【本当にいるんだよ。家にもいるし、外にも沢山いるの!】
友達は怖さもあったが、すぐに駆け付けた。
だがRは、【ゴメンね。驚かせちゃったね。何でもないのゴメンね!本当にゴメン!】
と言って友達を帰したそうだ。
友達はその時、病院に連れて行っていればと悔やんでいたが、
俺が
【大丈夫!医者が治るって言ってたから。】と言ったら安心していた。
それから、沢山の時間がかかったが、今ではRは完治して自分の人生を頑張っている。
俺とRは、釣り友達から飲み友達に変わり、仲良くしているけど...
幽霊の話はまだ一切していない。
.....って言うか出来ない。
長々失礼しました。
おわり。
怖い話投稿:ホラーテラー りんごあめさん
作者怖話