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短編2
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酒天童子

俺の先輩はチンピラだったんだが彫師に弟子入りして頑張っていた。

昔、練習台として肩甲骨に和彫の鷲を彫ってもらっている最中に先輩から聞いた話。

以前は先輩の師匠は手彫りといって先に針がついた棒みたいなのでチクチク時間をかけて彫っていたそうだ。

今は機械の名前忘れたけど自動ミシン針ついたペンみたいのが主流で俺もソレで彫ってもらった。

当時は刺青といえば和彫で客はほとんど筋者か神輿担ぎくらいしかいなかったそうだ。

んで遠山の金さん系だからパターンはだいたい決まってる

完成写真集(全部ふんどし!)を見せてもらったんだけど阿弥陀如来だったり鬼若丸だったり鬼子母神?だったり…

絵柄は人型が多いなーと思った。

1枚だけ裏返しになって背に酒天童子って書いてある写真があった。

めくって見てみるとまだ筋彫の酒天童子だった…

先輩に、なんでこれだけ未完成なのか聞いてみた。

「この酒天童子を彫ると完成前に客が死んじまうんだってよ」

とのこと・・

先々代からで3-4人死んで、写真の人も色を入れ始めた頃死んだらしい。

師匠は縁起悪いからもうずっと彫ってないとのこと。

まあ酒天童子にもいくつか絵柄あるらしいんだがこの酒天童子はダメ、らしい。

「また~やめてくださいよ!」

と言ってパタンとアルバムを閉じた。

俺の方も筋彫が終わり今日はここまで!って帰ろうとした時、先輩が・・

「さっきの酒天童子、完成させたヤツは1人もいねーらしいぞ」

と言っていた。

その話知ってて入れるバカいないっすよね?いたら伝説っすねーと言って帰った。

現在、先輩は初代彫○として独立して腕のいい人気彫師になっている。

後輩も何人か紹介した。

先日、忘年会の前に風呂行くか!ってなって健康ランド系はNGだから小さい銭湯に入った。

先輩本人が伝説になってた…

怖い話投稿:ホラーテラー キヨスさん  

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