昔、日焼けサロンで雇われ店長してた時の話。
今でこそ黒い女の子は減ったが一昔前、女もガンガン焼いてた時代。
もちろん男も(ゴキブリ級)多かった。
ただ、年配のオッサンなんかも実はけっこう焼きにきてたりする。
ちなみに店によるかもしれんがだいたい日サロは夏前くらいが一番混む。
ヒマな冬、遅番バイトと俺、深夜で客は0、いつものように奥に引っ込んでタバコを吸っていた。
ピンポーーン
店はエレベーターから直だったのでエレベーターが開くと客が来たことを知らせる音が鳴る。
「いらっしゃいませ~」
客かよ、だりーなーと思いながらもカウンターに行く。
くたびれたスーツ姿のオッサンがポツンと立っている。
「初めてなんだが・・・」
新規かよ、さらに面倒くせーと思った。
メンバーズカード登録用紙を記入してもらい、マシンを一通り説明してタオルとロッカーの鍵をわたした。
んで更衣室に案内して用意できたらインターホンで伝えてくれってお願いした。
カウンターに戻り携帯いじってたらいきなり後ろから
「用意できたんだが!」
ちょいビックリ!コイツ、人の話聞いてねー・・とか思いながらジェンマⅡ(縦型)に案内した。
居酒屋同様、呼び出しボタンあるのに直接声をかけるヤツは多い。
最近はベット型ばっかであまり見かけなくなったが当時は縦型のマシンなんかも多かった。
ずっと立ってなくちゃいけないのはだるいがベット型よりきれいに焼ける気がする。
ハロゲンランプ縦6発×2搭載だったかな?当時にしては強めのマシンだった。
薄暗いマシーンルームへ案内し、オッサンにちょっとした注意事項を説明しマシンを閉めた。
また給湯室引っ込んでガン黒ヤマンバみてーなバイト女とくっちゃべって30分。
時間終了を知らせるアラームとともにマシンの止まる音。
マシンの前で清掃道具もって待っている
・・・ん?なかなか出てこない。
ベット型だと寝ちゃって出てこないヤツたまにいるからわかるんだけどこれは縦型。
汗だくで立って寝るヤツはそうそういない、なんかあったか?
そういえばずっと昔に脱水症状で倒れた女子高生を思い出した、まさか中で倒れてねーよな・・・
「大丈夫ですか~?」
・・・応答無し。
「開けていいですか~?」
・・・「どうぞ」
は?意味わかんねー
わけわからずゆっくり開けたら誰もいない・・・
下を見たらオッサン素っ裸で体操座りしてんだよ。
額を膝につけて顔は見えない。
ゆっくり顔を上げてこっちを向く。
オッサンの目は真っ赤だった!
海老蔵の左目どころの騒ぎじゃない。
わぁっ!何がなんだかわからずでかい声を出してしまった。
不愉快そうに無言で立ち上がりオッサンは腰にタオルを巻き更衣室に歩いていった。
その場にへたりこんでいると
「大丈夫すか~?」
後ろからバイト女の救いの声がしたので振り向いた。
薄暗い中、放心状態でいきなりヤマンバアップで顔を見て
うおっっっ!!また声を出して後ずさり。
心臓ちぎれるかと思った。
まぁ、こっちの場合はコイツの化粧のせいだ。
修正ペンとマッキーで化粧してるようなヤツだったから(目のまわり真っ白!)
「マジ感じ悪いんすけど」
ふてって給湯に戻っていった。
オッサンは真っ赤な目のままドリンクも飲まずそそくさ帰っていった。
後々、別店舗のスタッフに聞いたんだがランプの近くで目をずっと開けてると真っ赤になるらしい。
オッサンは目をずっと開けて焼いてたら気分悪くなり体操座り?
終わったら自分で出て更衣室に戻るって説明よく聞いてなかっただけなのかもしれない
まぁ、いいや
それよりも暗闇で真っ黒ヤマンバ顔アップの方が怖かった。
見慣れてたはずなんだけど、やっぱ不意つかれるとヤバイ。
よく幽霊なんかより生きている人間の方が怖い・・って聞くけど、ビジュアル的にあてはまるケースもある。
そんなんが平気でそこらへん厚底で歩いてる姿を多く見かけた時代が懐かしい
怖い話投稿:ホラーテラー キヨスさん
作者怖話