「ねぇ、知ってる?この学校に幽霊がでるんだって。」
「はいっ?」
オカルト好きの友人Aがこんなふうに話しかけてきたのは、授業が終わり帰り仕度を始めていたときだった。
「昨日、先輩から聞いた話なんだけどさ、北校舎にトイレあんじゃんか?先輩がこの前部活帰りにそこのトイレにいったら髪の長い女が鏡越しに睨んでくるのを見たんだって。先輩、ビビって逃げたんだってよ。」
「はぁっ?どこの変質者だよ。ってか、先輩だせぇ~(笑)」
うちの学校は東京有数の私立の男子校であり、女の影もないような場所である。もともと幽霊を信じてなかった俺は、誰かの保護者が迷い込んだぐらいにしか思わなかった。
「俺も作り話かと思ったんだけど、先輩の様子が少し変何だよ。やけに疲れてる感じだし、いつもまわりを気にしてるし。どうせお前、今日暇だろ?一緒に調査しね?」
俺は幽霊を信じてなかったし、もしほんとに居たとしてもなぜ自分から厄介ごとに首を突っ込むのか理解出来なかったが、怖がってると思われるのもしゃくだったので、見るぐらいなら、っと付いて行った。
俺たちが北校舎のトイレへ向かったのは午後の6時。Aが雰囲気が出るからといい、それまでモンハンで時間を潰していた。
もともと北校舎は実習系の授業の時に使うだけでほとんど誰も来ない。まわりはもうすでに暗く、トイレの入り口はそれなりのふんいきを漂わせていた。
俺とAがトイレの入り口にたつ。中は電気が消えていて薄暗い。電気をつけると右手に個室、奥に便所、そして右手に大きな鏡が確認出来た。その場の雰囲気に呑まれながらも、俺はAを置いて先にトイレのなかに入り、鏡にむかいあった。
怖い話投稿:ホラーテラー ひとでなしさん
作者怖話