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中編5
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段ボールの中身

俺が子供の頃の話

俺の家の近所にデカい空き地があった。小学五年生だった俺の身長ほどの高さの草がぼうぼうに生い茂っていて、誰も草刈りをしたり整備したりする様子はなかった。

その頃学校で秘密基地を作るのが流行っていて、俺も友達と秘密基地で遊んでいた。この秘密基地は友達が別の空き地に作っていたもので、捨てられたソファーなどを置いていて、なかなか快適な秘密基地だった。

いつものように秘密基地で漫画を呼んでいると、クラスのジャイアン的存在の奴がいきなり

「今日からここは俺の基地だ」

なんて言いながら子分を連れて入ってきた。友達2人と俺が抵抗しようとしたが多勢に無勢ですぐにやられてしまい、快適な秘密基地を奪われてしまった。

「くそ!なんで俺たちの基地に!」

「遊ぶとこ無くなっちゃったな」

とか友達と話をしていて、あの近所の空き地を思い出した。あそこに秘密基地を作ろう!早速友達とあの空き地へ向かった。それぞれが家から使えそうなものを持ってきて、空き地の開拓を始めた。俺は確か板きれを数枚持っていった。友達のひとりは少し錆びた鎌を持ってきていて、その鎌で草を切り開き、空き地の中心部へと進んだ。

だいたい中心部へたどり着き、もう一人の友達が持ってきた小汚いマットレスを空き地の床にしき、三人で寝転んだ。達成感に満ちみんな笑顔でお互いを讃え合った。

その日からこの新しい秘密基地で遊ぶようになった。みんなで漫画を持ち寄ったり、拾ってきた椅子をおいたりして、だんだん秘密基地が狭くなってきた。俺は秘密基地をもう少し大きくしようと、友達から錆びた鎌を借りて秘密基地の内部から草を刈り進めた。

5メートルくらい進んだところで鎌が何かに刺さった。ザクッと音がした方をかき分けると、結構大きめの段ボール箱がそこにはあった。こんなところに段ボール?おかしいな?と思いつつ、友達に「おーい、段ボール発見したぞ!」と草むらの中から呼んでみたが、二人は漫画に夢中でくる気配が無い。仕方なく俺はひとりでその段ボール箱を開けてみることにした。

段ボール箱はガムテープできっちりと閉じられており、動かそうとしても、重くてビクとも動かない。中身にワクワクしながら、持っていた鎌で少しガムテープに切れ目を入れた時だった。

臭い。何かが腐った臭いが段ボールの中から俺の鼻をつついた。吐きそうになるほどの臭いがした。俺はここにきて段ボールを開けるのが少し怖くなり戸惑ったが、それでも好奇心の方が勝っていたので段ボールを一気に切り開いた。

鼻に突き刺さるような腐臭に一瞬目を伏せ、間を置いて段ボールの中を見た。

手だ。人間の手。

中にどす黒いシミが沢山ついた布がわんさかと入っていて、その奧には手以外のパーツが所狭しと入っている。血と思われるモノでガビガビになった髪の毛が生えた頭部を見つけた。顔は見えない。肉片が箱の内側にへばりついて、箱の中身は凄惨な世界だった。

「うわぁあ##%&:%」

と叫んだ俺の声に友達2人が気づきやっと俺のとこに来てくれた。

「どうした?!」

「何があったば?!」

「ああ、あの段ボールの中に・・・」

「に、人間が入って・・バラバラでおう゛ぉ」

っと言ったところで俺は嘔吐してしまった。俺のそんな様子を見て、友達二人は真剣な表情になり、俺が指差す段ボールの方へ恐る恐る確認しにいった。

なぜあんなものがこんなとこに?

胃液が口の中で気持ち悪さを助長する。

とにかく、救急車?いや、警察か?

なんて混乱した思考をフル回転させていたその時だった。友達のひとりがニヤニヤしながら近づいてきた。

「お前、あれマネキンやっし!」

へ?マネキン?

あれが?

嫌がる俺を友達が無理やり段ボールを確認させた。遠くからでも嫌なのに、もう一人の友達がご丁寧に段ボールの中に入っていただろう手を手に持っていた。

「ホラ、これが人間の手かよ」

ほれ、と顔の前に差し出す。

恐る恐る差し出された手を見ると、ツルツルとした皮膚の質感、なにより小学生がブンブン振り回せるほどの重さ。確かにマネキンの手だ。

。いやいや、ちょっとまて。確かにあれは人間だった。実際に見たのは少しの間だったが、あの強烈な腐敗臭や血のついた布は本物だったはずだ。

俺は箱の中身を確かめた。

中に入っていたのはバラバラにされたマネキンの体に着せられた薄汚れたボロボロの洋服だけだった。血濡れだったはずの頭はただ髪がボサボサになっているだけで、さっきの強烈な臭いは忽然と消えていた。俺は、確かに人間だったんだ!と必死にアピールしたが、友達は笑って真剣に話を聞いてはくれなかった。

ただ友達の一人だけは

「人間じゃないにしても、マネキンだとしてもこんなとこに捨てられてるのはおかしい。」

と言ってくれたが、それでもお前のビビリッぷりは無いぜ(笑)と俺を笑っいやがった。

そしてなんとその日から、俺のあだ名はチキン南蛮になった。

俺はこの日からこの秘密基地には近寄らなくなったが、友達は懲りずに秘密基地に行っているようだった。そりゃそうだ。箱の中身は人間じゃあなくマネキンだったのだから。

でも俺が秘密基地に行かなくなったのは、マネキンの姿が異様だったからだ。

友達は何も言わなかったが、

マネキンは体のパーツが回して取れるような仕組みになっており、取り外しは簡単なのだが、段ボールのなかに入っていたマネキンは、取り外ししてバラバラにされているわけではなく、何かノコギリのようなもので無理やりバラバラにされていたのだ。

なぜマネキンを、服を着たままの状態で、わざわざノコギリで切ったのか。

俺はそれを思うだけでこの箱を作った変質者が怖くなり、秘密基地に行くことは二度と無かった。

幽霊もなんもでてないし

怖くもないかもしれないが

俺にとってはこの事件のあとか今までマネキン恐怖症になってしまった最悪に怖かった出来事です。

長文失礼しました。

怖い話投稿:ホラーテラー チキン南蛮さん  

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