中編4
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『・・・おちない』

2年前の話しです。

私は夜中に目が覚ました。

まわりを見ると、隣には旦那が寝ていました。

私達は、今日ここに引っ越してきたばかりで

この寝室に慣れなかったのか、時間は夜中の3時頃だったと思います。

すっかり目が覚めてしまった私は、何か飲もうと寝室を出ようとしました。

夢だったマイホーム、これからの生活を考えると嬉しく思い

顔がニヤケていたと思います。

寝室の部屋のドアを開けた時でした。

廊下にたくさんの毛が落ちています。

昼間のうちに、すべて片付けておいたので

こんなに汚いのはおかしいと思いながらも、毛の続く方へと歩きました。

歩くにつれ毛の量が多くなっています。

人間の毛なのか動物の毛なのか、よく分からないくらいに

廊下にびっしりあって、気持ち悪いのであまり踏まないように進みました。

すると、毛はある部屋の前で少なくなっていました。

そこは引き戸で、開いていたので中を覗いて見ると

和室でした。

昼間の片付けの時は、分担でしていたので

こんな和室があったのには気づきませんでした。

でも、違和感を感じました。

この家は、洋風な新しいつくりになっているのに、ここだけ和室。

おまけに古く、カビ臭いような感じでした。

電気をつけていなかったので目を凝らすと、部屋全体に毛があり

壁や天井にまで、カビがはえるかの様にはえていたのです。

私は怖くなり旦那に助けを求めようと、和室から出ようと思いました。

部屋全体が私を見ている様に思えて怖かったからです。

寝室に戻り、旦那を起こして説明しました。

旦那は寝ぼけてるんだろうと言いながらも、一緒に和室に行ってくれました。

廊下にあった毛に、旦那も驚いていましたが

まずは和室に向かいました。

和室の前についた所で、私は怖かったので

旦那だけで様子を見てもらう事にしました。

が、意外にもすぐ出てきて何もないというのです。

私は、そんな筈は・・・と思い覗いてみると

そこは和室でなく洋室だったのです。

旦那の言うとおり、何も無く・・・毛もありませんでした。

結局2人は、目が覚めたまま

廊下の毛は不思議に思いながらも、掃除する事にしました。

気持ち悪いと思ったけれど、引越ししたばかりだったので

様子を見ることになりました。

掃除している時、ふとバスルームが目に入りました。

昼間、私がバスルームを掃除したのにもかかわらず、

あちこちが泥だらけで、私は呆然としてしまいました。

すると旦那が気づいたのか、自分がキレイにするからと

私は、寝室に戻り横になりました。

どうしてこんな事に・・・・と考えていると、旦那が何か言ってるのが聞こえます。

どうしたのかと思い、バスルームに行くと

旦那はシャワーを出しっぱなしにして、汚れを必死にこすっています。

『どうしておちないんだ・・・・おちない・・・・・・』とブツブツ言っていました。

その行動は、普通の状態には思えませんでした。

目が血走り、汚れていないところまでゴシゴシ洗っているんです。

私は声がかけれませんでした。

でも、旦那が私に気づいたんです。

正直、みていたのをバレてしまったと焦りました。

すると旦那が変なことを言うんです。

『○○・・・逃げなくても・・・子供達と・・・・・・』

私は○○という名前でもないし、私達には子供はいません。

そして、見てはいけないものを見てしまったんです。

バスルームにあるはずのない、包丁でした・・・・

包丁には、なぜか血がべっとりとついていて

私は、その場から逃げ出しました。

近くに友達の家があったのが幸いでした。

友達の家にかけこみ説明し、警察を呼んでくれ家を捜索し

旦那の死体を発見したそうです。

ためらいもなく、包丁で首を切ったとの事・・・・・

私は、頭が真っ白になりました。

逃げなければ、私も死んでいたのか・・・・

旦那を助ける事はできたのか・・・・・

今は、実家にすんでいます。

実家に戻る前に、こんな事を聞いてしまったのです。

旦那と住んでいた街で、昔殺人事件があったそうです。

借金まみれの父親が、風呂場で子供2人と妻を殺し床下に埋めたとか・・・

父親は、行方不明で

その家は売りに出されたが、住人は次々と引越していき

そのうち、家は古くなり新しく家を建てられたのである。

きっと私達は、その家に住んでいたのだと思う。

そして、あの毛は・・・・・

後日、私は念のためお払いをしてもらうこととなった。

旦那のあの姿は、今でも忘れることができない・・・・・・・・

駄文ですいません。

最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。

怖い話投稿:ホラーテラー 寝坊の日さん  

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