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短編2
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肉穴【1】

まどろむ意識の中、呼吸の度にチョコレートと南国の果物を混ぜたような甘い香りが鼻腔を掠めて私を呼び覚ます。

…んっ…うっ…ううん…ここは…どこだろう??

知世が目覚めた世界はピンク色に蠢く肉質の狭い空洞であった。

どうやら私は人一人通る(収まる)のがやっとだろうピンクの肉壁で形成されたトンネルのような所にうつ伏せに寝かされているらしい。

全身が緩く圧迫され、生ぬるく柔らかい肉の感触が伝わってくる。

両手は体の脇に添えられ動かせない。手足の指先がほんの少しだけ動かせるのを確認した。

自分の体を見渡せる程ではないが、顔前に30㎝程のスペースがあり、首だけは上下左右に振れる位にだけ自由がある。

その僅かなスペースの先に白い足首が二つ並んで見えた。

知世「えっ!?…なに…人の…足…??」

思わず漏れた声に足首がピクッと反応した。足首越しに声が聞こえて来る。

『おはよう新人さん。顔も見せずに足の裏で挨拶しちゃってゴメンナサイね。何せこんな状態だから…フフフッ』

知世「え!?…何?…人…!?それに此処は一体…わっ、私は…えっ!?!?」

晴香『まあ落ち着いて…って言ってもこの状況じゃ無理よねぇ。私は晴香。あなたと同じ人間よ(苦笑)あなた、お名前は?』

知世「…知世です。」

晴香『知世さん、これから暫くの間宜しくね。』

知世「…あっ、はい。えぇぇっと…あのぅ、此処は一体何なんですか??」

晴香『何も覚えてないの?多分だけれど、知世さんも私と同じように悠海に……』

悠海(ゆみ)!!!

その名前を引き金に、知世に記憶が蘇えり始めた。

そうだ。私は親友の悠海に相談があるからと呼び出されて悠海の住んでるマンションに行った。それで部屋で悠海の相談を聞いていたら部屋に甘い香りが立ち込めて来て…何だか意識がボーっとしてきて…

急に『…ごめんね。』って…立ち上がった悠海の姿は全身が蛇のウロコみたいなのにビッシリ包まれてて…

ミシミシって音を立てながら口が何倍にも大きく拡がって…………私、悠海に呑み込まれたんだ。

知世「あれは夢じゃなかったんだ…。」

晴香『思い出したみたいね。此処は悠海のお腹の中よ。。。多分だけど』

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 丸ごとレタスさん  

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