う

中編4分

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う

　これは、私が小学校のときに起こった本当の事件です。ニュースにもなりました。

　私が小学校５年生のとき、同じクラスに仲のよい女の子４人（Ａ子、Ｂ子、Ｃ子、Ｄ子）がいたんです。その４人は学校内では勿論、休みの日も行動を共にしているくらい仲のいい４人でした。その４人の中にＤ子と言う女の子がいました。Ｄ子は明朗快活でとても優しい性格の子でしたが彼女の生い立ちは壮絶なもので、一人っ子の彼女は４歳の時に両親二人を交通事故で亡くし、施設に預けられた後、祖母に引き取られ、祖母との２人暮らしでは国からの生活保護だけを頼りに暮らしている状態だったのです。しかしＤ子は持ち前の明るさでみんなと溶け込んでいました。

　そんな中、４人はバスで行く旅行を計画していたそうです。すごく楽しみにしていた４人でしたがＤ子の家には旅行に行く金銭的余裕など無く、しかし仲間はずれにされたくないという意識からＤ子はそのことを打ち明けることなく計画は進んでいきました。しかしこのままだとみんなに迷惑をかけると思い最後の最後でＤ子は旅行に行けないことを打ち明けました。結局、楽しみにしていた旅行はキャンセルとなり、Ｄ子は自分の家が貧乏なこと凄く悔やんで泣いていたそうです。それくらいからでしょうか、Ｄ子が３人から徐々に疎外される様になり、挙句の果て陰湿なイジメを受けるようになったのは。　

　冬休みが終わり、始業式の日を迎え、教室に戻ってきたクラス全員を目の前にして担任の先生が話し出しました。

　「実は、冬休み中、Ｄ子さんが体育倉庫の中で首を吊って自殺しているのが発見されました。原因はまだ分りませんが・・、みなさん黙祷を捧げましょう・・。」

　やや時間を置いて驚きを隠せないヤツや、すすり泣く女子生徒・・。教室内が一瞬にして重い空気に占領されました。

　後々になって聞いた話ですが、この事件は学校と市の教育委員会との話し合いの結果、

「病気を苦にした自殺」と、事実をうやむやにしてしまう発表がされています。

　当然、私たちクラスのほとんどの人が心の中で思っていたんです。

　『アイツらだ。あの３人がＤ子を自殺に追い込んだんだ・・。あんなに仲良かったのに・・。』

　この事件をどっか胸の中に閉まったまま、無事小学校を卒業し、中学、高校、大学と月日は流れていく中、小５の同窓会は２，３年に１度行われていたんです。何故かと言うと、あの事件で亡くなったＤ子への追悼の意を表して先生が呼びかけていたんです。しかしあの３人はやはりどっか後ろめたさを感じてるせいか、１度も出席していませんでした。

　私たちが二十歳のとき、４回目の小５の同窓会が行われました。今回も２０人は集まらないだろうな～と思っていたら、なんとあの３人がやって来たんです。みんな驚きましたが、私は３人とも凄く大人びて綺麗だったのがしっかり今でも目に焼きついてます。同窓会を終えた後、３人は同じクラスメィトのＳ子（この子は事件とはなんら関係ない）を誘って居酒屋に行ったそうです。そこで彼女たちはＳ子にこう言ったそうです。「はやくＤ子に謝りたい」「楽になりたい」「あの日以来、毎日がつらい」と、泣きながら・・。実は彼女たちはあの日以来、ずっと重い十字架を背負って生きていたんです。

　店を出てＳ子に案内してもらい彼女たちはＤ子のお墓参りに行ったそうです。墓地に着き、Ｄ子の立派でやや大きめな墓石に花をたむけ、３人が合掌をし始めました。

と、その時にまた事件が起きました。

　Ｄ子の墓石が合掌していた３人めがけて倒れてきて頭を直撃したそうです。

　一緒にいたＳ子は驚いてすぐ救急車を呼びましたが、Ａ子とＢ子は頭部打撲によるほぼ即死状態、Ｃ子は脳内出血による意識不明の重体だったが懸命な治療の甲斐なく翌日の早朝、息を引き取った。

　私がこの事件を知ったのは２日後で、Ｓ子が直接電話で教えてくれました。この知らせを聞いたものは、いろんな事を考えざるを得ませんでした。

　『こんな映画みたいなことが本当に起こるのかよ・・』『Ｄ子の怨霊・・』

　原因や結果はどうあれ、私達は本当に起こったこの事実をいやが上にも受け入れねばなりませんでした。　

　それからこの事件の余韻が冷めようかという２年後の秋、Ｓ子から連絡がありました。急で申し訳ないけどとりあえず見せたいものがある、と。私を含め、７人くらいが集められ、そこでＳ子があるものを見せてくれました。

　実はこの事件にはまだ続きがあったんです。

　それは、３人中最後に息を引き取ったＣ子のお母さんが、病院のベッドの枕元で見つけたメモ書きでした。それを今まで大事にとっていたそうで、それは確かにＣ子の筆執だと思われるそうです。

　一語一句、正確には覚えていませんが、　

　内容はこんな感じでした。