あの年頃といっても、物心がついてまだ間もない頃。
いつからだったかわからないが、それくらいの頃には、不思議なものを見るようになっていた。
別に、ズタズタ引き裂かれた衣服をまとった血まみれの女性が・・・・・・というものではなく、
なんというのかなあ、その時には簡単に、そちらへ行くことができた。
別に、天国だとか、そういうものではなく・・・・・・
たびたびこういったサイトを読んでは、似たような話をしている人はいないかなんて見ているのですが、
そんな話をしている人は、まだいない。
当時は誰しもが同じ体験をしているのだと、別に大人になるまでの通過点なんだと思っていたので、
誰にもこういった話はしなかったけれども、
まあ、こんな際だからというので、投稿させてもらうことにする。
確か、小学2年のことだったと記憶している。
市営の団地に住んでいた私は、夜、テーブルに肘をついて頭をもたげていた。
部屋には母が、洗濯物をたたんでいて妹は、机に向かって絵でも描いていただろうか・・・・・・そんな時、
私はその二人を視界に入れて、
(そうだよなあ・・・こうすれば・・・・・・こうなるよなあ・・・・・・)
と、それより以前から、そういったことを体験していたのだ。
頭をもたげている手を、少しガクッとずらす。すると・・・
それまで母と妹がそこにいて、机があり、洗濯物があり、目に見えるのは今いるその部屋の景色。
しかし、手をずらした瞬間、世界がパッと切り替わるのだ。
真っ白に!
辺り一面真っ白になり、影すらも見えない。突起すらもない真っ白な世界。
どこまで行っても、上を見ても下を見ても真っ白な世界が目の前に広がる。
人も誰もいない。動物も、虫も、自然もな〜んにもない世界。
そして、元の世界に戻るには、どうすればよいのか。
これもまた知っていた。
もう一度、頭をガクッとずらせばよいのだ。
すると元の、母が洗濯物をたたんでいる、妹が机に向かって絵を描いている、その部屋に戻る。
そんなことが稀にではあるがあったのだ。
白い世界。
今はそちらには行けないが、
なんなのだろうと、不思議に思う。
怖い話投稿:ホラーテラー ななしさん
作者怖話
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