林業を営む若い男がいた。
林業を営む前、サラリーマンをやっていたが、自分には向いていないということで、転職した。
彼は期待の星であった。林業を営む人たちは、5,60歳ほどの人たちがほとんどであったが、若者ということで、期待されていたのである。
仕事を終えると、たいてい山小屋に泊まる。
今日もそうだった。
寝ているとき、こんな音がしたりする。
ガサガサ。ザザザザ。
これは獣が走ったりするときの音である。
だが、今日は普段と違う音がした。
ひょ~ひょ~。
これはどう考えてもおかしい。
ひょ~ひょ~。
気になった彼はドアを開け、そっとのぞいた。
そこには白装束の人々が列になって下山している。
すると一人がこちらに気付いた。
そして全員が彼の方を向いて信じられないスピードで追いかけてきた。
彼は必死で山小屋に戻り、ドアの鍵を閉めた。
獣のようなうめき声が聞こえてきて、ドアやかべを叩いたりひっかいたりしてきた。
彼は布団にもぐり、必死に祈った。
気付けば朝になっていた。
山小屋の周りは静まりかえっていた。
おそるおそるドアを開けると、血だらけの爪や、ひっかいた跡がしっかり残っていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話