僕は心霊スポットに向かっている。
島の若者に人気の夜景スポットでもある、山だ。
メンバーは内地から来た友人カップルと僕の作り出した幻覚の豚、ピギー。
バイト先で借りたレタンタカーで細い山道を登って行く。
路肩には不法投棄されたゴミが散乱している。
家電、生ゴミ、何でもありだ。
ピギーが興奮して鳴き出した。
そして車体をすり抜け、飛び降りた。
きっと生ゴミを漁りたいのだろう。
僕は構わず車を走らせた。
目的地に着くと、僕は空気を読んで、一人、離れた場所に行った。
友達カップルは大満足だった。
途中、ピギーを拾い帰路に着いた。
ピギーは興奮しているようで、僕に向かって「ブヒブヒーッ」と鳴いている。
この鳴き声はなんか変だと感じた。
ふと名倉武人が頭に浮かんだ。
すると、ピギーは振り切れんばかりに首を縦に振った。
友達カップルをホテルに送り、僕は武人に会いに行った。
武人は島と埋め立て島を結ぶ大きな橋の柱の上に住んでいる。
武人に会うと開口一番「急げ!マア坊のツレのホテルに行くぞ」
車を飛ばし、ホテルに向かった。
途中、ケイタイに電話するも出ない。
ホテルに着きフロントで内線で呼び出してもらうが、出ない。
直接部屋に行くと部屋の鍵は開いていた。
部屋に入ると二人は折り重なるように倒れている。
ホテルの人は救急車を呼ぼうとしたが、武人が「車で病院に行った方が早い」と僕の車に乗せるよう指示した。
車の行き先は病院ではなく、僕の家だった。
家に着くと門をくぐりマジムン返しの壁の前に二人を連れて行った。
「いいか、壁の横から屋敷に向かってほり投げろ」
「えっ!?」
「行くぞ!せぇーの!」
僕と武人は二人を屋敷の向かってほり投げた。
するとパーンと乾いた音が鳴り響いた。
一瞬、光の粒が広がって消えたように見えた。
「マジムンは真っ直ぐにしか進めへんねん」
ピギーの言葉を武人を通して聞いた。
察しの通り、僕は山で悪霊を連れてきたのだ。 ピギーのお陰で悪霊を車から追い出したけど、後ろから着いてきていた。
カップルを降ろすと僕を諦め、カップルに憑いて行った。
僕達がホテルに着いた時には既に二人のマブヤーは落ちていて、心臓を手で掴まれていた。
悪霊はマジムン返しの壁にぶつかり消えた。
次の日、近所に住むビィーチャー(酔っ払い)の大家にユタを紹介してもらいカップルのマブヤー籠めをしてもらった。
怖い話投稿:ホラーテラー マア坊さん
作者怖話