中学二年の七月の話です。
その日は、ちょっと外食でもしようかという事になり、家族で出かける事になりました。
当時使っていたのは大型のワゴン車で、父が運転席、私が助手席、母が後部座席に乗り、出発しました。
少し車を走らせた頃、橋にさしかかりました。
この橋は、大きい川に架かっているので、100m以上の長さがあります。
その橋のちょうど中心に車がさしかかった頃でしょうか、自転車に乗った男がこちらにむかって走ってきたのです。
その男は、茶色っぽい布を顔に巻きつけていました。
私は、その男がなんとなく気になったのですが、そのまますれちがいました。
そして、そのまま車を走らせて橋をもう渡り切ろうとした所で、今度は、高校生の男の子が自転車に乗って来ました。
その瞬間、私は異変に気づき、後ろを振り返り、さっきの自転車の男を探しました。
と同時に、母も同じく異変に気づき、声を上げて後ろを振り返っていました。
私と母が気づいた異変…
それは、さっきすれちがった自転車の男…
とてつもなくデカかったのです!
その高校生を見て気づきました。
そうなんです、自転車に乗った人は大体この高さに見えるはずなのです。
それが、さっきの男は倍の大きさがありました。
ちょっとやそっとのデカさではないのです。
倍です。
つまり、3m以上あった事になります。
そんな巨人が普通の自転車に乗っていたのなら、ひどく不格好になるでしょう。
しかし、そうではなかったので、自転車もそれに対応してデカかったのでしょう。
考えてみると、真夏だというのに、布を巻きつけていたのもおかしいです。
しかも長袖長ズボンでほとんど肌は見えていませんでした。
それより、もっと不思議なのは、振り返って探した自転車の男の姿がどこにもありません。
自転車のペースから考えて橋を渡り切るのは不可能です。
一本道の橋の上で死角になるような所はどこにもないのですから。
…私が見たあの男は一体何だったんでしょうか。
その橋を通る度にその事を思い出します。
怖い話投稿:ホラーテラー びんさん
作者怖話