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中編3
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白い着物

つい先日の話です。

私は友人のKと一緒にKが見つけたという温泉に行くことになりました。

もちろんそれがメインではなく、Kがもうすぐアパートを解約するとのことだったので、その前に一度アパートの様子を見てみたいということで遊ぶことになったのです。

電車で30分、バスで30分かけてKのアパートがあるH市に着きました。

その後私達は近くのファミレスで昼食を済ませ、温泉へと向かいました。

河原沿いの道をしばらく進むと「○○温泉入口」と書かれた古ぼけた看板を見つけました。

実はその看板を見つけるまで結構な時間がかかっていて、私とKはやっと温泉に入れるという思いで看板の指し示す方へと進んでいきました。

そこにあったのは、一般客などとても来そうでない民宿のようなたたずまいの古い建物でした。

入り口を入ると妙な匂いが鼻をつきましたが、その時は私もKもあまり気にしませんでした。

フロントらしき場所には色の濁った水の入った水槽が置いてあり、中には10匹近い、手の平ぐらいの大きさの金魚がウヨウヨと泳いでいました。

少し待っても人の気配がしなかったので、私が

「すいませーん」

と言うと、奥の方から女将さんらしき人が「はーい」と返事をして出てきました。

とりあえず私達は前金でお金を払い、脱衣所へと案内されました。

私とKは顔を見合わせ、ただただ顔をしかめるばかりでした。

というのもその温泉は、古い上に高かったからです。

脱衣所へ行く途中にトイレがあるのですが、男子の方にはドアがなく、尿特有の匂いが前を歩くだけで鼻につきました。

私とKは

「この勢いで、浴槽も狭かったらどうしよう」

的に考えていたのですが、その予感は幸運にも外れ、まずまずの広さでした。

私は外を移動してきて身体が冷えていたので、出来るだけ熱いお湯に入りたかったのですが、お湯はぬるく、おまけに変な匂いがしました。

Kは

「料金分入ってやる」

と言っていました。

浴槽には私達以外に数人の男性客がいて、いかにも常連という感じでした。

浴槽は二つあって、私達が来たとき一つはすでに人がいたので、別の方に入っていました。

でもせっかくだし両方の浴槽に入ってみたいので、私とKは人が散るまで雑談をして待つことにしました。

どんな話かと言うと下ネタです。

1時間は下ネタしてたと思います。

ようやく人が掃けて、もう一つの浴槽が空きました。

Kがまずその浴槽のお湯に触れ、

「おい……これ……」

と言いました。

「何?」

と私は言い、お湯に触れてみました。

「あ………。」

そのお湯はさらにぬるかったのです。

何のために誰もいなくなるまで下ネタで盛り上がってたんだろう。

もう出ようかということになり、最後にシャワーを無駄に多く使って臭い温泉の匂いをながして脱衣所へとでました。

その時ふと目に入って、あれ?と思いました。

脱衣所に私の服とKの服と…………

「これ、だれの服?」

そこには入る前にはなかった白い着物のようなものが丁寧にたたんで置かれていたのです。

「え?何?今俺達だけじゃなかったの?」

Kがそう言った瞬間、風呂場の方から物音、そして私が目の前にあった鏡の中に見てしまったあるもの………。

もしそういったものを見てしまったら、皆さんはどんな行動をとるでしょうか?

きっと現実的な行動をとるはずです。

とにかくそこを出ました。前金だったのでそのまま建物を出ました。

あれが追ってくるんじゃないか?

でも私は携帯をだして帰り際に写真を撮りました。

特に何も写りませんでした。

普段ホラー映画や短編ホラードラマで俳優さんや女優さんがやってる迫真の演技みたいにはなりません。

皆さんはもし何かを見てしまったら、きっと現実的な行動をとるはずです。

ちなみにこの温泉が実は存在しないものだった、というオチはありません。

今もしっかりと存在しています。

怖い話投稿:ホラーテラー 傘淀奥Chiさん  

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