実話です。ですので、すごく長い文章になるかと思いますのでご了承ください。
近々私が結婚して家を出るにあたり、弟が私にすべてを語ったのが、はじまりでした。
その日、弟から携帯にメールがありました。
「姉貴、大事な話があるんだけど今夜どう?」
外で飲もうなんて珍しいものだと思い、嬉しくもあったのですぐに「いいよ」と返信しました。
駅で待ち合わせて居酒屋に入り「姉貴、結婚おめでとー!」の乾杯ではじまり、姉弟や父母や親戚の思い出話で二人で盛り上がりました。
「そういえば、アンタ私に大事な話あるんじゃなかったっけ?」
私がそう切り出すと、弟の表情は誰が見てもわかるくらい極端に沈んでしまいました。
なにか大きな借金とか抱えちゃったのかなーなんて思いながらも聞いてみたら・・・。
「姉貴、うち出るよ」
ですって。どうやら、うちの実家は幽霊が出るらしいのですけど、その話を聞いたとき私は笑ってしまいました。
だって私は20年以上も
住んでて、金縛りにもあったことなんてなかったのですから。
「アンタ、疲れてんじゃないの?」
「いいや。絶対いる」
妄想や、からかって言ってるようには見えませんでした。弟は昔から極端にこの手の話を嫌ってましたし。だから、すべて聞いてあげることにしました。
話を聞くと、彼が幽霊を始めてみたのは、家族で〇〇高原へスキーにいったときだそうです。ゲレンデに接したホテルで、
私の印象に残っているのは人が少なかった事と、暗いホテルだったかなーくらいなもので、特に恐怖体験したわけでもありません。
けど、彼は皆が寝静まったときに吹雪の音で目が覚め、大きな窓の外からこちらを見ている長い髪の女を見たそうです。
私は高校生、彼は中学生でした。絶対馬鹿にされると思って言えなかったそうです。彼の言う通り
で、言ってたら馬鹿にしていたと思います。信じなかったでしょうし。
で、そこから彼の体験はエスカレートしていったみたいです。
ある夜中、寝ていると自分のデスクに誰かが座っていたそうです。
私だと思ったそうです。デスクに座って、足をぶらんぶらんさせて机を蹴ってるんですって。
寝惚けながらも、馬鹿姉貴は人の部屋で何やってるんだ?
と思ったそうですが、よくよく考えて背筋が凍ったらしいですよ。
そのとき私が修学旅行で家にいないってことに気づいたそうで。
あるときは、やっぱり夜中に目が覚めると、部屋一面が真っ赤だったそうです。で、棚とか箪笥の上に置いてあった小さなぬいぐるみとかが、すべて生首だったらしいんですよ。
あるときは、部活から帰ってきてベッドに横たわっていると、いきなり布団を被せて乗っかられた
そうです。あまりに強くて、ウザくて、本気で息できなくて、ブチ切れて
「姉貴ふざけんなっ!」
って布団から這い上がったとき、長い髪がバサって消えたそうです。
で、そのときは壁越しに
私が友だちと携帯で話しているのが聞こえたらしくて、心底恐怖したそうですよ。
まだまだありますが、とても書ききれないので。
「で、今でも見るの?」
私が言うと、普通に見るって言うんですよ。
「アンタが〇〇高原から雪女連れて来ちゃったんじゃないの?」
からかい半分で言うと、
本気な顔してそうかも知れないって。
あまりにも弟が深刻顔だったし、私も興味が無いわけでもなかったので、
「いいよ。じゃあ今夜私がアンタの部屋で寝てみるよ」
と言って、彼の部屋で寝ることにしました。
この日の夜のことは忘れもしません。
午前1時には消灯し、お酒が入っていたせいもありぐっすり眠りました。
寝てるとき、耳元で遠めに暴走族の音が聞こえるんです。
まだ寝つけてないのか、夢の中なのかはわかりません。
暴走族の音の次は、遠めから盆踊りのような音でした。
真冬な上に夜中なので、
この音はおかしいです。
この音はなぜか、だんだん大きくなっていくんですよ。
ドンドンドンドン!
って。で流石に煩くなって目が覚めて、上半身を
起こしたんですよ。
そしたら、長い髪に白い
浴衣を着た女の人が、確かにテレビの上に立っていました。
はじめて見たけど、本当に本物。本当にハッキリとしてて、顔が無くて、
けど足はどうだったかしら。そこまでは、よく覚えてません。
私の体験はこれだけですが、この日以来、私は真っ暗の部屋で眠れなくなってしまいました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話