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短編2
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ばあちゃん

俺は、ばあちゃんといつも喧嘩ばかりしていた。俺の為に間違った道に行かせないために口うるさくしていたのだと今だから思う

俺は小売り業のパートとして、社員になれず5年働いていた。小さな町のせいで、町の人達は唯一のデパートとして来店してくれている

おばあちゃんもデパートが大好きで「しん、今日これが安いから仕事終わり買ってきて」とか「わしも行くかな!」なんていって、田舎暮らしの息抜きみたく、いつも楽しみに俺の車にのりこんでいた

去年、おばあちゃんが食道癌で入院した。1ヶ月後には、体中に転移し、手術をしても…

俺は信じなかった。あれだけ口うるさくするほど、健康に意識して、家族にこれでもかと尽くしてくれた人が、なんでこんな事になりやがる

入院中のおばあちゃんに俺は「大丈夫だ!諦めなければ、必ずよくなる!頑張ろ!」と話しては、車に戻り一人で泣いた

夏、家族みんなに囲まれて、おばあちゃんが亡くなった。2日前に苦しいはずの体調で「しっかりやるんだぞ」と俺に言い、次の日、ばあちゃんにはすでに意識がなかった

通夜、葬式、四十九日と行い、家族みんなで「ばあちゃん夢に出たか」などと話し合いながら、生前を振り返っていた

親戚のおばさんが

「ばあちゃん見たよ」

と言い始めた

「え!?」

とみんなで話に聞き入る

おばさんは「私あんたの家に寄った時、おばあちゃん、いつものお店に行く服きて、あんたの車に乗って、楽しみそうにニッコリ笑ってたよ!」

おばさんが婆ちゃんを見たその日は、紛れもなく、デパートに行った日だった

「結局病室から出られなかったんなら、もっと、一緒に出かけてあげれば良かった」

ずっとそう思ってきた俺に、どこか重荷が取れた、そんな感じがした

今、俺はパートから準社員を目指して挑戦中だ

ばあちゃんが俺を厳しくも優しく育ててくれた事を忘れずに、逃げずに戦っていく

見ててね。ばあちゃん

怖い話投稿:ホラーテラー しんさん  

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