大学に入ってわかったのは、意外と「学校の七不思議」的な怪談のある学校は少ないんじゃないかということだ。
かくいう私が通っていた小・中・高校にはちゃんと七不思議が存在してたから、大学で友達に「そんなんないよ」って言われたときはちょっと残念に思う。
これは私が通ってた中学校の「校歌第3番」っていう怪談。内容はいたってシンプル。
中学校の校歌は2番までしかないんだけど、ホントは3番があるという。
3番ではこの学校の秘密が語られ、それを知った生徒は歴代校長の亡霊に殺されてしまう。
…ていう。アホ~な内容。今なら厨二病とかいうのかな。
でもね。見つけちゃったんだよね、私たち。音楽室の隣の、音楽準備室の左奥の本棚。脚立を使わないと届かない、本棚の最上段。
卒業前の、ちょうどこの季節だった。放課後こっそり忍び込んで、家探し気分でドキドキしてた。そしたら見つけたの。3番まである校歌の楽譜。
『さあ学ぼう死の恐怖 さあすすれ友の血を 学校と云う名のこの監獄で 1年2組の床の下 ああ我らの○○中学校』
なにが怖いって、あつらえたように校歌のメロディに合うから。この校歌の書いてある紙もかなり年季入ってる感じだったし。
そんでもって、全体的にマイナスでダークな歌詞だけど、一ヶ所気になる歌詞があるでしょ?「1年2組の床の下」ってところ。
その場にいたのは私をはめて5人、卒業前でやることなくてテンション高かったからさ。その足で1年2組教室に向かったよ。「何があるんだろう」って。
教室に着くと、1年生はみんな部活か帰宅かでだれもいなかった。それはそれで都合良かったけど、みんな気付いたの。
「この教室の床の下に何かがあるとして、どうやって見ればいいんでしょう?」
結局、どうしようもなかったんだけど。私が言ってしまったの。「3番を歌えば何か起こるんじゃない?」って。
もちろん歴代校長が殺しに来るなんて信じるほど、中学3年の女子は夢見ちゃんじゃないから、ゲラゲラ笑いながら歌っちゃったんだよね。
『さあ学ぼう死の恐怖 さあすすれ友の血を 学校と云う名のこの監獄で 1年2組の床の下 ああ我らの○○中学校』
「…ドン」
歌い終わると、床の下から音がし出したの。
「…ドンドン」
床の下から、誰かが床を叩くような。
「ドンドンドンドン」
私たち、さすがは女の子。みんなで「キャー」で応戦よ。
「………」
そしたら一瞬止まったの。「ヤバイヤバイ、ヤバイよこれわ」と言いながら、このスキに~と思ってソロリソロリと教室の出口まで移動しようとしたら、だよ。
「どどどどどどっどどどどどどどどどどどdddddddっどどどどどどどどどどど」
床の下のだれかさんは、お仲間を呼んだらしいのね。今度は床の下いっぱいに、何かいる。大量の何かが、床を叩きあげてくる。揺れるわ、揺れるわ。
もうね、大パニックさ。私たちの「キャー」は「イヤァァァ」に変わり、「ウワァァァ」になって3階の自分たちの教室にまっしぐら。
肩で息をしながら、これは怖いと叫びまくり。とりあえず、楽譜は元に戻そうという話になった。
それで、見つけた時と同じように私が脚立に上がって本棚に戻して一件落着。
ってとこまで、そのとき一緒にいた他の4人は知ってるけど。
でもね?本棚の最上段を見た私しか知らないことがあるんだよ。
校歌の楽譜は、ホントはもう一枚。校歌は4番まで、あったんだよ?
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話