※誤解させて申し訳ない。
これは、事実を少しだけ混ぜた創作です。
不思議な感覚に捕らわれて俺は眠りから覚めた。目の前に俺が居る、声をかけようも声は出ない。そればかりか体すら動かない。
俺じゃない俺は部屋に居て何時もの様に生活してる、そんな時凄まじい地震が起こって……気がつけば家は倒壊、奴は傷だらけ。鳴り響く警報。
おかしい、そんなはずはない。大体俺はここにいるし傷だらけでもない、それなのに奴が怪我した筈の腕が痛む気がする。
まさか、そんなはずはない。
きっとこれは夢なんだ、絶対に夢だ。こんな事が現実にある訳がない。そう思って俺はもがいた。しかし体は動かない。
視界が代わって俺は瓦礫の中に立っていた。うめき声が聞こえる。見ず知らずの人間が……。
早く目が覚めてくれ。
また視界が代わった。こんどは目の前に焼け爛れた人間がいる。助けてくれ、苦しいと叫ぶ声が聞こえる。
「アナタが死ねばよかったのにね……
死にたくもない人間が死ぬ現実
それを嘲笑う人でなし」
急に声が聞こえて、俺の心臓は嫌に高鳴る。声の主は瓦礫を踏み鳴らしながら俺の前に姿を表した。
黒髪の日本人で、わりと若い感じの女。
「世の中不謹慎な人がいるものね
代わりに死ねば、とか死ねるなら死ぬとか……
みんな死にたくて死んでる訳じゃないのに
みんな生きたいのに」
女の声は冷ややかで俺の心に突き刺さる。見えない何かに締め付けられている様な奇妙な感覚。
「不謹慎」
その一言が聞こえた瞬間俺の目が覚めた。夢だったんだと、俺は胸を撫で下ろす。テレビをつければまだ地震のニュース……なに一つ変わらない日常に俺は先の夢等忘れ、また携帯を取り出した。
「ん? メールきてる」
それはまったく知らないアドレスからのメール。
お前が、悔やむまで
いつまでも何度でも。
少しだけ気味が悪い内容のメールを俺は速攻削除した。そしてまた何時もの出会い系にアクセスする。するとさっきの日記にコメントがついていた。
見ないと決めたが、まあ暇だし構ってやるか。
そこにはこう書いてあった。
永遠に夢の中で。
「夢の中で、死を繰り返しましょ?」
背後に忍び寄る気配、からみつく腕、そして――。
俺は毎晩夢を見る。焼けて死んだ自分水死した自分。毎日死を夢みる。
「マタ不謹慎ナ人ガイル、殺サナキャ――。」
怖い話投稿:ホラーテラー 真夏火さん
作者怖話