短編2
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迎に来た老婆

昨年、私が体験した恐ろしい話です。

あれは寒い季節の頃で、

その日も雪が降ってもおかしくないほど寒い日でした。

しかも最終電車で帰ってきたので、もう日付が変わる時間帯でした。

駅のホームに立つと、凍えるような寒さで。

自宅までは歩いて15分ほどなので、いっそタクシーをと思いましたが、最終電車で降りた客が行列をつくっていたので、歩いた方が早いと思い、

早足で歩き始めました。

駅の周辺を過ぎると人の姿もなくなり、気づけば

歩いているのは前方で籠の車を押している腰の曲がったおばさんだけでした。

僕は何気なしに彼女を追い越しました。

街灯の少ない長くて暗い

道を進むと、また人影がいました。

僕は「おや?」と思いました。

さっきの籠車を押したおばさんだったのです。

どこで抜かれた?非常に不思議でした。まあ、ここに出る道は何本かありましたので、それほど気にせず追い抜きました。

住宅街に入り、自分の家の周辺にきました。

やっと着いたという思い

で一杯でした。ほのかに汗をかき、寒さはそれほど感じなくなっていました。

しかし、自宅のすぐそばまで来たとき、また前方にあのおばさんがいたのです。

さすがに気味悪くなりました。おばさんは、右へ曲がりました。

私の自宅は右にあったので、何となく左に曲がりました。

面倒だけど一回りしてから帰ろうとおもったんです。

そしたら、右に曲がったはずのおばさんが前方から歩いてくるではありませんか。

よくみれば、おばさんでなく腰の曲がった老婆のようでした。

私は下を向きながら、彼女とすれ違いました。

すれ違い様に彼女は・・・

「あんたじゃないよ。安心しなぁ」

と私に言ったんです。

とても恐ろしくて。夢中で家に帰りました。

私が家に着くと、母親が

玄関まできてこう言うのです。

「隣の〇〇君。今日交通事故で大変だったのよ」

「ええ!?大丈夫なの」

「それが意識不明の重態らしいのよ」

「そんな・・・!」

私があの老婆を思い出してゾっとしたのは、翌日

〇〇君が亡くなったと訃報を聞いたときでした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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