中編4
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s峠

私の住んでいる県(以下、I県)に、s峠という、峠がある。

s峠は昔、I県と隣りの県(以下、A県)を結ぶ、重要な交通路だったらしいが、きつい山道と、交通量の増加で、下にトンネルが作られた。

この話は、トンネルが出来る前の昭和45年ごろの話である。

昭和40年代前半にs峠で、殺人事件が起こった。

事件は、若いカップルが、s峠を通行している途中で口論になり、運転していた男が車ごと、女を崖下に落とした。

男は脱出し、警察の事情聴取にも平気で答えていた。

しかし、女が生前家族に、

「別れたい」

などといっていることが分かり、警察が調べるうちに男が殺害したという考えが強まり、男は逮捕された。

それから数年が経って、s峠の交通量がだんだん増加してくると、ある噂がたつようになってきた。

それは、夜中に一人の男が運転している車に限って、s峠を通行する際に一人の女が乗せてくれと頼む。

そこで、乗せないと峠を越える前にパンクするという落ちがあったのだが、のせたときにどうなるのかは、分からなかった。

また数年が経って、この噂自体が消えかかってきたころ、I県に住むある男Xがこの噂を耳にした。

男は、噂を聞くとすぐに友人であるYに電話をかけ、噂が事実であるのかを一緒に調査してほしいと伝えた。

一週間後、XとYはそれぞれの車でs峠へと向かった。

途中、s峠の交通量が増えたことによって建設されるsトンネルの工事現場を横目に見つつ、峠道を上がっていった。

峠の一番上についたのは、午後2時くらいだった。

下調べでのぼってきたので、一回おりようということになった。

ちょうど、峠をおりてから少ししたところにT温泉郷という、温泉街があるのでそこで休もうということになった。

温泉につかり、本来の目的を忘れそうになりましたが、時間は午後6時。

温泉旅館のロビーで計画の再確認をした。

計画は、まずYが車を走らせ、峠で女がいたら乗車を拒否し、A県のT駅前で待機をする。もし、パンクしたらT駅まで歩く。そして、Yが出発してから二時間経った後に、Xが峠で女を乗せてT駅で合流して、終了というものだった。

午後8時。Yが出発した。

その後、二時間が経ち、Xが出発した。

外は、二時間前から降っている雨で、視界が悪かった。

峠の頂上を越えたあたりで午前0時すぎくらいであった。

その、直後くらいに人影が雨で濡れたフロントガラスに映った。

Xは、恐る恐る車を止め後ろのドアの窓を開けた。

そこには、20代くらいの若い女が、雨に濡れながら立っていた。

「乗りなさい。」 

Xがそう言うと、女は静かにドアを開け後部座席のシートに座った。

「どちらまで?」

「……T駅」

そう、女が答えた。

車は、パンクすることも無く峠を越えT駅についた。

「気をつけてな。」

Xがそう言うと女はT駅の中に消えていった。

xはこのとき初めて恐怖感に襲われた。

しかし、あることに気がついた。

Yはどうした?

そのほうが、恐怖だった。

車の中からは、Yの車の姿は見えない。

Xは、急いで駅の中へと入っていった。

Yはいた。

XはYに聞いた。

「女はいたか?」

「いたけど…」

「どうしたんだ?」

ここで、心に引っかかっていた疑問があらわになった。

「車……どうしたんだ?」

「……」

「おい!」

「ごめん……。思いだしたくないんだ。」

「そうか……」

xはYを自分の車につれていくと、後部座席に寝かせた。そして自分も眠りについた。

起きたのは、午後になってからだった。

Xは、まだ寝ているYを起こさないようにI県に戻ろうと車を動かした。

今度は、何も無くs峠を通ってI県に戻ることが出来た。

Yを自宅に送り、自分も自宅に戻ってきた。

その後、その話とは縁を切った。

しかし数ヵ月後、会社からとんでもない出張届けが出された。

A県への出張。

Xは身震いした。

当時、I県とA県を結ぶ最短ルートはs峠を通るルートだった。

しかし、昼間通ったときは大丈夫だったので、昼間に通ることにし安心した。

しかし当日、荷物をまとめるのに時間がかかり家を出たのは、午後五時だった。

Xは考えられるすべての神様とご先祖様に祈りながら、峠をのぼっていった。

峠の山頂についたのが、午後八時だった。

しかし、A県T町の中心部に入っても、異変は起きなかった。

そして、三日たち、戻る日がやってきた。

Xはこのとき峠の女は自分が乗せたのだから、もういないと考えるようになり安心しきってい

た。

そのため、Xは夜に帰ることにした。

この判断が甘かったのだった。

午後九時に出張先を出たXは、一路I県を目指し車を動かした。

しかし、峠の山頂くらいまで来たとき、「パァン」と音がして、車が動かなくなった。

Xは、外に出た瞬間いやな事を思い出した。

数ヶ月前の出来事。

Xは動けなくなった。

しかし、その瞬間あの女の声が聞こえてきた。

「……バイバイ」

Xは、気がついたら病院のベットに横たわっていた。

(終)

怖い話投稿:ホラーテラー 国道さん  

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私のすむ県ですねw
地元ネタはいいですね♪

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