私の地元で数年前に「すきまのおっさん」が現れるという噂がありました。
それは、密集した家と家の間や、蓋のない側溝などの隙間に、オッサンが挟まっているというものでした。
最初、この噂を聞いた大人達は、変質者を疑いました。
しかし目撃者は幼稚園児ばかりでしたから、子供達によくあるおふざけなのか、本当に変質者なのか、判断しかねるところがありました。
まあ皆で気をつけましょうという話をしていたところ、
ついにオッサンが室内で目撃されました。
ある母親が自宅で洗濯物を干していたら、5歳と3歳になる子供達がリビングで声を張り上げました。
「あっ、おったぁ!おったよ!」
「ほんまや!おっさんや!すきまのオッサンみっけ!」
(え!?すきまのオッサンて、もしかして!?)
リビングはそのとき雨戸を閉めてあり、外の様子は中からは見えません。子供達はどこでオッサンを見ているのか、まさか家の中で…?
母親がリビングに飛んでいくと、子供達は収納ケースとテレビの間のわずか15㎝くらいの隙間を指差して騒いでいます。
変質者が家に入り込んでいる!と母親は慌てふためきましたが、そんな狭い隙間にオッサンが入り込む余地はないのです。
「どこ、どこにオッサンおったん!?」
「あーん奥に逃げてった」
隙間の奥は壁です。人が隠れられるスペースはありません。
母親は家の中を捜し回りましたが、知らないオッサンが入り込んだような形跡はどこにもありませんでした。
母親は、嘘ついたらあかんよ!と叱って、一方的に子供のせいにしてしまいましたが、嘘を言ってたようには思えず、未だに気味悪い感じがするそうです。
いつのまにか噂は消えましたが、見た子供達は、なぜかみんなあまり怖がってなかったそうで、
大人にはそれがよけいに不気味でした。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話