母親の顔がマジなのを見て俺は身体の芯から震え上がった。
関西弁で攻めてみるか…
あの頃を思い出してくれるかも…
待てよ…
カフェオーレに農薬?
うちに農薬なんかあったっけ?
嘘ついてる!
俺を試そうとしてる!
せっかく心の底から謝ろうとしていたのに!このクソババア!
いやいやいや、ここは下手に出とかないと殺られるぞ・・・
「おかん…今まですまんかった…わい…農薬飲むわ」
「そうか」
母親はじっと俺を見つめた。
優しい目で。
関西弁が効いたか?効いたのか?
逆効果だった。
「あの馬鹿に声まで似てきやがって!」
母親はいきなり俺の口にコーヒーカップを近づける。
ツーン!
鼻を突く臭いは紛れもなく農薬の臭いだった。
こんババア本気だ!
反射的に自分でも思いもよらない言葉が口をついて出た。
「照れ臭くて言えんかったけど…好きやったんや!おかんのこと。大好きやったんや!出来る事なら結婚したかった。わいが死んでも忘れんといてくれ!好きやったという事だけは!一人の女として!」
続く
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話