ある所に、件の都市伝説が本当ならばもうすぐ魔法使いになろうかという、キモヲタがおりました。
キモヲタの悩みは、やはり、自分が童貞であるということ。
彼女いない歴29年11ヶ月の彼は、魔法使いになどどうでも良いから早く童貞を捨て去りたいと、日々願っていたのです。
手軽に脱童貞するなら、やはり風俗?
しかし、最初の相手くらいは、普通の女の子がいい。
金を払ってやるのではなく、ちゃんと出会って恋愛し、その末に経験したい。。。
キモヲタは日々、夜の街を歩きました。
もしや空から女の子が降って来て、恋愛関係になれるかもしれない、そんな妄想を膨らませながら。
しかし、そんな奇跡などある筈も無く、無為に彼の『深夜徘徊』は続いたのです。
と、そんなある夜のこと。
住宅街を歩いていた彼の耳に、ペタペタと背後から近付く、不思議な音が聞こえてきたのです。
何だろうと思い振り返る彼。するとそこには、奇妙な体勢をした、女子高生の姿がありました。
何故あの子は、地面に両手を付けているのだろう?
目を凝らし、女子高生を凝視する彼。
と、そこで初めて気付いたのです。
その女子高生には、下半身が無かったことに。
そう、彼女はかの都市伝説、『テケテケ』だったのです!
「あなたの足をちょうだい」
上半身だけの女子高生は言いました。
私には足が無いの、だからあなたの足をちょうだい、と。
そうして笑いながら、ペタペタと近付いて来るテケテケ。
そんなテケテケを、言葉を失い凝視する彼。
都市伝説の妖怪?とは言え、自分に近付いてくるのは、紛れも無い女子高生。
これまでどんな女子も、自分の半径5m以内に入ろうとしなかったのに、今、女子高生が僕の所に。
ゆっくりとだけど、確実に、リアル女子高生が今、僕の近くに。
走馬燈の様に蘇る、幼き頃からの想い出。
小中高と女子から嫌われ、気持ちが悪いと蔑まれ続けた、辛き日々。
しかし今、相手がテケテケとは言え、紛う方無き女子高生が僕の近くに!
が。。。
キモヲタはブルブルと震えながら、両拳を握りしめ、叫びました。
「下半身が無くちゃ意味ないじゃないかーっ!」
その一言に、テケテケは深く傷付いた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話