高校生だった頃の話。
ある夏の夜の事
2階の自室にいた僕はふと窓の外が気になった。
誰かが外にいるような
外から誰かに見られているような
窓は風通しのために少し開いており、カーテンが静かに揺れて半開きになっている。
僕は窓に近づき外を見た。
誰だ?
家の前の通りに髪の長い女性が立っている。
街灯に照らされている姿は記憶に無かった。
女はじっと僕を見ている。
怖くなった僕は、カーテンと窓を閉めた。
気を紛らわせようとゲームの電源を入れる。
がどうしても窓が気になる・・・。
そっとカーテンの端から窓を覗いてみた。
誰もいない。
まばらな街灯で薄暗い道には誰もいなかった。
ホッとしたような怖くなったような気がして、その日は何度も窓の外を見たが、誰かが家の前に立つ事は無かった。
次の日の夜
昨日の事は半分忘れかけていた。
ふと昨日の事を思い出し窓の外を見る。
いる!
昨日の女が街灯の下に立ってこちらを見ていた。
背筋に冷たいものを感じ、慌てて窓とカーテンを閉め1階へ駆け下りる。
親が何事かと聞いてきたが耳に入らなかった。
少し気を落ち着けてから、玄関のドアをそっと開けて道を覗く。
そこには誰もいなかった。
その日は寝る事が出来なかった。
外を見たい衝動に駆られたが、恐怖がそれを上回っていた。
次の日、怖いながらも正体を突き止めようと決心した。
2階の窓とカーテンを少し開けておき、僕は家から少し離れた物陰に身を潜めた。
仏壇にあった数珠を握り締め、ポケットには袋に入れた塩を用意した。
待ちながらずっと考える。
もし幽霊だったら・・・
大声を出せば家族が来てくれるかな・・・
金縛りにあったらどうしよう・・・
頭の中がグルグルとしていた。
ふと気付くと家の前に人影がある。
僕はゆっくりと人影に近づく。
数珠を握り締めた掌が汗ばむ。
女は僕が近づいても家を見上げている。
「・・・・・・よね。」
女は何かをつぶやいた。
僕は更に近づく。
心臓が破裂しそうになるくらい鼓動が高まった。
「危ないですよね。」
女はそういった。
そして彼女が指差したので、僕はそれを目で追った。
僕の部屋の窓が見える。
その横に人影があった。
髪の長い白い服の女が窓の脇に立って、開けようと窓に手をかけている。
「最近毎日、彼女屋根をつたって窓から入れて貰おうとしているみたいで。
あの部屋の人の恋人とかなのかな。
でもいつも入ろうとすると窓閉められちゃうんですよ。
何だか可哀想で。」
自分の部屋の窓に、目が釘付けになっている僕の後ろで彼女がボソリと言った。
「今日は入れて貰えたみたい。」
終
怖い話投稿:ホラーテラー からくりさん
作者怖話