森② 自殺者への対応
不適切なら削除OKです。自殺の話です。物語風に書いています。
これは10年前、僕が、ど田舎にすんでいた頃の話。
そこは、発展が遅く、地元の人が馬車で荷物を運ぶような所でした。
なにぶん、そこに住んでいた頃、自殺事件があいつぎました。
僕自身、当時若くて、死についてよく考えていた頃です。
よく富士樹海に自殺志願者が沢山集まるといいますが、
その土地は報道されていない分、とてもリアルで怖かったです。
普通、森で自殺というと首吊りをイメージしますが、
その土地で多かった自殺は、焼身自殺と劇薬による薬物自殺でした。
ある日のこと、P君が、
前々から死にたい死にたいといっているB君を心配して
森の中の絶景を見に行こう誘いました。ついでに俺らもいきました。
集まったのは全部で5名。
・ 死にたいといっているB君
・ 俺、you
・ 情熱家のP君
・ お調子者で、モテすぎる男A君
・ Pの友達、F君
集合場所は、この土地で唯一、自動販売機がある大きな施設の駐車場。
おのおの愛車に乗って集合場所にやってくる。
P君は、缶ジュースを飲み干すと、皆に軽自動車に乗れと命令する。
その絶景の噂は、先輩から聞いていたので、大方の予想はできていた。
確かに見晴らしは良いが、その場所へ行く道のりがデンジャラスであると……。
案の定、デンジャラスな道!
軽自動車一台分しか通れない砂利道。一歩隣に踏み込めば、崖の下まっしぐら。
その絶景が見える高台へいくのに、1時間くらいかかった。
その途中、落石・倒木があって、皆で協力し、崖に落として前に進む。
この共同作業、死にたがりのB君には効果があったようで、
彼はだんだんと元気になっていった。
しばらくすると、開けた場所に着いた。
樹木が鬱蒼と生えていたが、何十台分もの車が駐車できるスペースがあった。
5人は車から出た。
時は夏、熊除けの鈴をつけ、虻の襲撃にあわないよう、虫除けスプレーを体に吹きかける。
とても大きな二本の大木の間をすり抜け、いざ、高台へ。
高台にいくと、もう、信じられん!くらいの絶景がそこにあった。
B君も満足そうで、なによりであるが、話は急転換する。
その高台には、目新しい人工の塔があった。
そして、そのコンクリート張りの地面には、焼け焦げた跡が。
上述で述べたように、この土地では焼身自殺が流行っていた。
しかも、人間の本能なんだろうか、
決まって焼身自殺者は、野外で、なおかつ人工建物の上で自殺する。
ネット内にある焼身自殺動画もしかり!
彼らは、なぜか、人工建物の上で、自分に火をつけるのだ。
それが故にくっきりと焼け焦げた跡が。
5人は、目の前にある焼け焦げた跡が、自殺によるものとすぐに判断できた。
なぜならば、その焼け焦げた跡のすぐ近くに御札が貼ってあったからだ。
気分が落ち込むB君。P君は、その場をどうにか乗りきろうと俺たちに助けを求める。
P 「 B君、ごめんな。気分悪くなったろ? 」
B 「 別にいいよ。だって、しょうがないじゃん。
けど、ここで焼身自殺した人ってどうなったんだろうね?
苦しかったんだろうか? 苦しいよね、燃えるんだもん 」
F 「 御札があるということは、誰かが片付けたんだろ?
仮に、熱くて暴れたとしても、最後は崖の下へ真っ逆さまじゃネ? 」
A 「 そうだね~、きっと誰かが片付けたんだろうね~☆ 」
しばらくして、俺がふと横を向くと、見たことがない花が咲いていた。
その花が、綺麗ならば良かったものの、どす黒い赤色をした異様な花。
のちに彼岸花と判明したが、自然界の彼岸花は、カブトムシ色である。
そして、その花がまるで川のように連なっている。
僕 「 珍しい花だ。なんて花だ? 」
B君がさらに落ち込む。その花が、まるでこの自殺者の餞(はなむけ)に見えたのであろう。
その花は、その高台から、さらに高い崖の上まで連なって咲いていた。
P君が、なにか思いついたようだ。
P 「 この花に沿って、あの崖、登ってみない? 」
場の空気がどんよりしていたので、5人は崖をよじ登った。
たどり着いた頂点は、とても不思議な場所だった。
ほんのり丸みを帯びた山頂で、当然、樹木が生い茂っている。
そして、積年の落ち葉によって、とてもフカフカ地面だった。
すると、Pが驚きの顔で、俺に話しかけてきた。
P 「 you、ちょっと、あれ見てみろよ 」
俺は、Pが指差すところを見た。
そこは、先ほど車を駐車した広場であって、
この山頂から良く見えた。そして、俺は驚いた。
先ほど、高台へ行く途中、大きな大木の間をすり抜けたのだが、
それは二本の大木ではなく、なんと神社の鳥居だった。
いきなり、雲行きが怪しくなる。風が強くなり日差しがなくなる。
次にFが叫んだ。鳥居とは別の方向だ。
F 「 なんだ、あれは! 」
樹木が鬱蒼と生え茂る山頂。獣道すらないのに、それは突然現れた。
背丈くらい伸びた草木の隙間から、古い建物が目に映りこんできたのだ。
その建物はまさしく異様な姿で、一言で言うと竜宮城というような建物。
瑠璃色や桃色を使った変なお堂だ
そのお堂は、右半分落ち葉に埋もれて、左側が見えている状態。
A 「 ここはきっと、昔の神社だったんだねぇ~ 」
僕 「 ……おいおい、もしかして、これは歴史的発見か!? 」
F 「 見る限り、この神社は自然消滅したんだな
こんな荒れ道で、自動車で1時間なんて、わざわざ参拝する人いないだろう 」
P 「 この神社、結構、年代いってんじゃないだろうか? 」
好奇心旺盛な5人は、当然、そのお堂へ入る。罰当たりではあるが。
今、実を言うと、そのお堂の中のことはあんまり覚えていない。
ただ覚えているのは、3つの像があったこと。
たぶん明王、牛の擬人の像、肉食獣の擬人の像。
そして、その3つの像の前に、なぜか、真新しい大学ノートが一冊おいてあった。
下品な俺は、その大学ノートに手を伸ばす。
もちろん、そのノートがこの状況に似合わないと感じたからである。
ノートを手に取ると、そのページの隙間からひらりと何かが落ちる。
それはなんと、御札であった。
先ほど、高台の塔で見つけた御札とまったく一緒の。
僕は確信した。この場所は、自殺の名所であると。
不謹慎だが、そのノートを開いて中身をみた。
まぁ~、恥ずかしいといえば、恥ずかしいイラストが書いてあった。
このノートの持ち主は、きっと漫画家になりたかったのであろうと思われる品物。
そして、ページをめくるにつれ、狂ったような絵になっていく。
恨み節も書かれていた。ああ、これは自殺するわと感じられる文章である。
しかし、ちゃんと最後には遺言と、このノートの持ち主の名前と住所がかかれていた。
しばらくすると、Fが突如、不機嫌になる。
僕も、一度に二回も自殺現場を発見するのは、やはり縁起が悪いと思っていた。
ものすごく悩んだが、僕らはそのノートを警察に届けることにした。
もしかしたら、このノートの持ち主が、人知れず自殺して、
その家族が、彼(男性)を探しているかもしれないから。
と、いいつつ!!
実は、このノート、お堂から出した瞬間、爆風に吹き飛ばされて崖下へ落ちる。
この場を借りて、ごめんなさい。わざとじゃないです。
落としたのは俺です。
帰りの車中。どんどんと天候が悪化。とうとう雨が降り出した。
それと同時にB君とF君の様子が、変になっていくのを感じ始めていた
B 「 皆、ごめんね。俺を励ますために集まったのに 」
Fの不機嫌がとれない。
F 「 てめぇ、もう、死にたいなんていうなよ! 甘ったれてんだよ!
俺は、お前なんかと死にたくはない! 」
激しい口調のF君。しかし、B君は、これほどのことがあっても安堵の表情
そんなB君をみて、僕も彼を警戒をし始める。
場を和ませようと、お調子者のA君が、言ってはいけない言葉をいってしまう。
A 「 二度あることは三度ある~☆
次、御札を発見したら、どれほどの確率なるんだろうね? 」
まぁ~、このA君の言ったことが的中するのだが、事は複雑になる。
大雨の中、命からがら最初の集合場所へ戻ってきた。
土砂崩れに遭遇したら、僕らの命はなかっただろう。
すると、B君が急に腹が痛いと言い出す。
F君は、B君に対して、最後の友情を振り絞った。
F 「 腹が痛いだぁ! 早く野グソしてこいよ!
雨だし、誰も見てないよ! 誰か着てもかばってやるよ! 」
B 「 そんなの、いやだ! 俺は、この施設に入って用を足してくる! 」
B君は、車から降りた。
彼はそのまま、その駐車場にある大きな施設の小窓に走った。
そして、彼はその小窓を、ガタガタと揺らすと、なんと、その小窓の鍵が開いたのだ。
B君はするり、その施設に入る。
当然、B君は不法侵入だ。すると、F君が、残った僕らに意を決して提案する。
F 「 ……おい、皆、Bを置いていこうぜ。
だって、見てみろよ! あいつ、さっきからおかしいぜ!。
平然に不法侵入しているぜ 」
確かに、その駐車場にあるその施設は、その日休みであった。
Bがなぜに、その小窓を揺らすと鍵が開くと知っていたのだろうか?と思う。
すると、情熱家のP君がF君に怒る。
P 「 何言ってんだよ、俺たち友達だろ! 待っててやろうぜ! 」
僕はFの気持ちが、ものすごくわかった。
行き返りのBの変貌振りが、ちょっと理解できなかったからです。
だけど、僕らも、勝手にお堂に入り、
自殺志願者の遺言が書かれたノートを、吹き飛ばしている。
僕らは置いてはいけないと判断した。
すると、B君がトイレであろう場所の窓を内側からバン!叩く。
疲れきってる俺たちは車の中で無反応。
お調子者のA君は、車からでると、
自動販売機の場所まで走り、ジュースをおごるからといって、皆をよんだ。
僕らも自動販売機のところへいく。
すると、またB君が、窓をバン!と叩く。
溜まりかねたFは、自動販売機のある所から、施設内へ聞こえるように叫ぶ。
F 「 なにやってんだよ!! はやく、クソしろよ! 」
そして、Fは振り返り、俺らのほうを見る。
F 「 おい、P! Bはもしかして、俺たちを驚かそうとしてんじゃないのか!
ぶっちゃけ、お前のせいで、Bはおかしくなったんだぞ!
高台なんて行かなきゃ良かったんだよ!!
残念だけど、俺はジュースを飲んだら、帰るからな! 」
すると、今度は、Bが悲鳴を上げる。
B 「 ア“ーーーーーー! 」
しかし、その悲鳴には、感情はなかった。
まるで、俺たちを弄んでいるかのような嘘の悲鳴。
B君の悲鳴よって、僕らは自動販売機から駆け出し、鍵が開いた小窓から施設内に入る。
俺たちも、晴れて不法侵入になってしまったのだが、事が事だ!
トイレに入ってみると、Bはニヤリと笑い、大便器の個室に入って、こちらを向いて立っている。
後から駆けつけた4人は、すぐさま、
『 その個室は、なんか変だぞ! ついでにBも変だぞ! 』と判断する。
なんと、その大便器の個室の中に、もう一つ、扉があったのだ。
個室IN個室の状態。
しかし、数学的に考えると、その扉の向こうの空間はわずか数㎝である。
しばらくすると、B君は、誰も頼んでいないのに、ゆっくりとその内側の扉を開く。
すると、案の定、例の御札が貼ってあった。
Bは俺たちを怖がらすように低音でいう。
B 「 これで三枚目だね~、ククク! 」
しかし、Bの考えとは裏腹に、俺とFはBに激怒した!
しかも、Fは、その場で何かに気づき、畜生!と言いながら、突然走り出す。
それを追ってA君も走り出す。二人は外に出て行った。
俺はBに言い放った
俺 「 何を考えているんだ、おまえわ!
お前は、この御札が、ここにあったことを知っていただろ!
なんで、高台にいたときに、この御札の事、言わなかったんだよ!
なんで、わざわざ、俺たちを怖がらせることをするんだ!?
なんで、急にふざけはじめたんだ、お前! 」
質問攻めの俺。Bは、予想外の皆の反応に困惑する。Pもわけわからず困惑。
すると、外に出て行った二人が騒ぎ出す。
F 「 こ、れ、は、洒落にならんぞ!! ぶらぁぁ! 」
A 「 youちゃ~ん、こ~れ~、まずいっすわ~(笑) 」
Aが、外側からトイレの窓をたたく。慌てて僕も外にでた。
そして、その二人がいる場所を見て、すべてを察した。
この土地で唯一自動販売機が存在する、この施設。
FとAは、その自動販売機の裏の隙間を見ていたのだ。
Aはお調子者なので、手を叩いて笑ってはいたが。
僕も、その自動販売機の裏を見ると、やはりその壁にも、御札が貼ってあった。
黒い焦げ跡もある。焼身自殺の跡だ。
どうやら、この自動販売機のあるところで、誰かが焼身自殺をしたみたいだ。
そして、事後、自動販売機を設置したみたいである。
この自動販売機と内側に扉がある個室のトイレは背中合わせで、
壁の外側と内側の両方に御札を貼ってあるという状態
その後の話(笑)
Fは次の日、姿を消した。
最終的に彼の捨て台詞がこうだった。
「 お前らは友達でもなんでもねぇ!最初から俺たちはハマっていたんだよ! 」と
Fの気持ちもわかる。
だって、当時の俺たち若者は、この自動販売機を夜の集合場所にしていたから。
さすがに気持ちが悪い。
Pは糞真面目だから、お堂の件を警察に話したらしい。
不法侵入の件は隠したようだが、
お堂の件で、俺とA君の名を警察におしえたみたいだった。
今の所、お咎めはないがね。
危ないBとは縁を切った。
しかし、その土地には、なにかしらの習慣があって、
その御札の存在は、最後までわからなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー youさん
作者怖話