毎晩寝苦しさを感じていた。
働き出して実家を出るまでは、
夜ベットに入ったら即睡眠。
朝まで目覚めることは無かったのだが、
都内で一人暮らしを始めてから、
何かと寝付きが悪かった。
最近上に越してきた外国人が、
深夜過ぎてもやたら煩いからかなぁなんて理由をつけて、
あまり悩まないようにしていたが、
朝になってもけだるさが残る毎日を過ごしていた。
ある蒸し暑い晩、ふと目が覚めた。
かれこれ1週間程前から、
深夜3時〜4時の間に目覚めてしまうことが続いていた。
いつもなら目覚まし確認、
二度寝の作業になるのだが、
その日は何か違和感があった。
枕元に置いてある携帯電話。
充電中は赤いLEDがついている。
メールや着信があれば、
ランプの色が緑で点滅するタイプなのだが、
大概2時間で充電は完了するので、
この時間はランプがついていないことが多い。
でも違う。
ランプはついていないが、
サブディスプレイのイルミネーションがついている。
触った覚えは無いけど、なんだろ?と、
何の気無しに充電コードをたぐり寄せケータイを開いた。
真っ暗闇に慣れていた視界に眩しい、
いつもの待受画面
では無かった。
どちらかと言えば暗い。
寝ぼけた頭で、なんだろうと考えた。
瞬間、頭がスッと冴え、背筋が凍った。
携帯を持つ手からも血の気が引くのを感じた。
「私」が写っている。
顔だけで無く、全身。
まるで天井から撮ったかのような視点。
寝ぼけて写真を撮ったと言うのは有り得ない。
写真には私の両腕がキチンと写っていたから。
恐ろしくなった私は、
そのまま電源ボタンを連打していた。
一瞬、保存しますか?というアラートが見えた。
それから部屋中の電気をつけて、押し入れや物陰、
戸締まりをくまなくチェックして朝まで震えて過ごした。
次の日から、必要な物をまとめて友達の家に転がり込んだ。
寝言みたいな私の話を信じて、ルームシェアまで提案してくれた。
とてつもなく有り難い話だったが、やっぱり申し訳ない。
するとその子が、その写真を見たいと言ってきた。
見たいも何も、消してしまったから残っていないよと言いながら、
データフォルダを開いた途端に、2人まとめて凍った。
サムネイル画面いっぱいに、
何枚も何枚も真っ暗な写真が並んでいた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話