僕の母校の七不思議の1つ。
体育館の倉庫の奥にその扉はあった。
友達達とじゃれあいながら体育で使った道具を片付けている時にそれを見つけた。
壁と同じ色の真っ白いドア、そしてノブが付いていた。
いつもは跳び箱やホワイトボードがあったりで気が付かなかったけど、
確かにドアがそこにあった。
ワクワクしながら代わる代わるノブを廻し、ノックしてみたり、蹴ってみたり、友達と色々試してみたが開く様子は全く無かった。
そして閉まっているにも関わらず鍵穴が無い。
ドアのある倉庫を外から見たりもしたが、窓もなくドアの向こうは確められず、
けど確かにそこには小さいなりにも部屋であろう空間があるのは分かった。
そうこうしてる内に次の授業もあるし、お昼休みにまた来ようという事となり、
そのまま倉庫を締めた。
次の授業中はそのドアの話で持ちきり状態。
現場を見ていない他の奴や女子まで話に乗っかってきて、
お昼休みには、ほぼクラス全員体育館倉庫前に集まっていた。
すでに話は膨らみに膨らんで、そのドアを開けるとお化けが出てくる!呪い殺される!という説が濃厚になり、
怖いもの見たさなのか何なのか、意地でも開けてやる!という友達まで出てきた。
僕はすでに意気消沈…
というか、お化けの件でもう勘弁状態、
遠巻きに見てる方に回った。
子供と扉の綱引き状態になり、掛け声を合わせて数人で引っ張っていた。
バキンッ
もうじきお昼休みが終わる頃、
嫌な音が響いた。
ノブがドアから取れてしまったようで、
先頭でドアノブを引っ張っていた奴が
やったー!!
何て喜んでいた。
その時。
きゃーー!!
女子の悲鳴。
そして倉庫から転がるように出てくる友達達。
遠巻きに見ていた僕でも分かった。
ドアは少しだけ開いていた。
何がなんだか解らず、ただ悲鳴と開いたドアにビビり、
僕はもう我慢できず、体育館の外へ逃げていた。
ここからはドアノブ破壊を手伝っていた友達から聞いた話。
ノブが取れた穴から目が覗いてて
誰かがこちらを見ていた。
少し開いたドアから沢山の手がドアを掴んでいた。
ノブが取れて
喜んだ先頭の奴の顔
誰か判らなかった。
場内騒然。
誰が呼んだのか、先生数人が駆け付け
僕たちはクラスへ返され、ドアノブ破壊で先頭にいた奴は
お約束通り居なかった。
次の日も、次の日も。
先生からは、ただ倉庫へは近付くなと言われただけで、ドアノブ破壊の事は一切触れなかった。
先頭にいた奴。
一週間後位に、先生から家の都合で引っ越す、とだけ聞かされた。
だけど、僕
そいつと仲良かったから、会いに行ったんだ。
引っ越しは確かにしたけど、暫く家に居たから。
良くなかった。
行かなきゃ良かった。
会いに行ったとき丁度庭先に居たから、声を掛けた。
至って元気そうで、何で学校に来ないのか分からない位普通に話した。
また遊ぼうな!と声かけて、何気なく奴が玄関入ってくの見たんだ。
玄関先に佇んで、
無表情な顔だけ僕に向けて、
「アケテアケテアケテアケテアケテアケテアケテアケテアケテアケテアケテアケテ…」
僕は堪らず逃げだした。
その後、奴はどこかへ引っ越し
奴とはそれっきりあっていない。
体育館の倉庫は、あの昼休み後ずっと鍵を掛けられ、中にあった跳び箱とかは
僕が卒業する時も体育館の隅に固めて置かれていた。
あのドアが何だっのか
解らないままだが
開かなくなった倉庫は、母校の七不思議の1つになっていた。
怖い話投稿:ホラーテラー もずくさん
作者怖話