私は小学一年生の頃、祖母の部屋で寝ていました。
祖母の部屋には、祖父と祖母がベッドに寝ており、私は真ん中に、隣には姉が寝ていたんです。
祖母の部屋には、金色の般若の壁飾りを飾っており、私はその飾りが怖いと感じていました。
その日、いつものように布団に入って寝ましたが、あんな不気味な夢を見るなんて思いもしなかったでしょう。
そして、夢をみたのです。
なぜか私はいつも通っていた真っ暗な小学校の廊下に一人立っていました。
周囲は暗闇と言ってもよく、怖がりな自分がここにいることが不思議でした。
三年生の教室を右に曲がれば、体育館へとつながっています。
その体育館へとつながる廊下の向こうに一人の人影がこっちに歩いてくるのが見えました。
離れているため、顔がよく見えませんでしたが、私はだんだんと近づいてきた人影が同い年くらいの少女であることがわかりました。
少女の顔がわかったとき、私は少女の顔を見たことを後悔したのです。
少女はおかっぱ頭で、口が耳まで避けており、目はギラギラと獲物を狙う動物のように輝き、鋭い爪を持っていました。
そんな恐ろしい姿をした少女から当然逃げます。
しかし、少女もまたかなりの早さで私を追ってきました。
ニタニタとした不気味な笑みを口許に浮かべながら…。
べそをかき、「いやだぁ!誰か助けてぇ!助けてぇ!」と大声で叫びながら真っ暗な学校中を逃げ回りました。
それでも少女はしつこく追い掛けます。
その時、誰かが私の名を呼びました。
目を開けると、祖母が心配そうに見ていました。
祖母によれば、寝ていた私が急に「誰か助けて、誰か助けて」と叫んだそうです。
異常に感じた祖母は、急いで私を起こしたとのことでした。
ただの怖い夢だとしても祖母が声をかけず、あの少女に捕まっていたら私はどうなっていたのでしょうか。
今でもあの夢を忘れることはできません。
怖い話投稿:ホラーテラー 夏野さん
作者怖話