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短編2
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生き疲れ

生きることに疲れていた。

目的もなく今まで生きてきた。

仕事はまあうまくやれていた。

人間関係も悪くはなかった。

働いて休みの日は昼まで寝て起きたらいつもスケジュールが空いている友人と遊ぶ。

それの繰り返しだった。

ただ黙々とそんな事を繰り返すことを苦にしない性格なら良かった。

僕は自分の存在理由がわからなくなっていた。

仕事だって僕の代わりはいる

友人も僕がいなくなったら最初は悲しんでくれるだろう。

だけど、いつかは僕のことを忘れる。

僕はいつ死んでもいいと思っていた。

でも、普通の自殺は考えていなかった。

ただ自殺して忘れ去られていくのが怖かったからだ。

まず、僕は街のチンピラに金を積んで僕の言うとおりに動くよう話をつけた。

後日、普段は1人で帰る道を普段から仲の良かった女子社員と帰った。

その帰り道、この前のチンピラが刃物を持って僕達の前に立ちふさがる。

チンピラは女子社員を刺しに行く。

僕は身を挺して女子社員を守りチンピラの凶刃に倒れた。

チンピラは急ぎ足でその場を立ち去る。

女子社員はその場に泣き崩れている。

目撃者達は携帯で警察に通報している。

この傷の深さはもう助からない。わざわざ大きめのサバイバルナイフを用意した甲斐があった。

きっと僕はヒーローだろう。

表向きは自らを犠牲にして女性を救ったヒーローなのだからこの女子社員は僕のことを忘れられないだろう…

例えチンピラが捕まって全てが明らかになったとしても他に類を見ない行為だし、女子社員にとっては自分の心に傷を負わせた最低な人間だ。

忘れたくても忘れられないだろう…

全ては僕の計画通りだ…

僕は泣いている女子社員と騒然とする現場を見て悦に浸りながら静かに目を閉じた…

怖い話投稿:ホラーテラー 鯖さん  

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