前回の話
【廃病院と無数の白い手】
前回の話をまだ読んでいない方は
読んでからの方が分かり易いやもしれません。
前回、病院で不思議な体験をした後に
いくつか別の心霊体験をしたと言いましたが
今回の話はそれより前の話。
俺が心霊現象を信じるようになったきっかけです。
その昔のとある場所で電車の衝突事故がありました。
この話は有名ですので省かせていただきますし、
興味のある方は【高原鉄道 事故】で調べてみてください。
別にこの悲惨な事件を面白おかしく馬鹿にするつもりは毛頭ありません。
さて本題に入ります。
高原鉄道の事故があったあと慰霊碑が飾られるようになりました。
俺の母方の実家は信楽にあり、その道を良く通るのですが
毎回行くたびにうっすら霧がかかっていた記憶があります。
今回の登場人物というか
話のメインになるのは 俺、俺の母、俺の母の姉 の3人です。
俺の母の姉は昔から霊感が強く色々な心霊体験をしているそうで、
今回の件もこの姉のおかげで、全体像が掴めた様な物です。
以降詳細な記憶は曖昧ですが、脚色などは一切せずに書きます。
なので怖くなかったり、読み辛い可能性があるかもしれませんが
そのあたりはご了承ください。
ある年のお盆、うちの母方の家の盆参りに行くという事で
母の運転で朝方に家を出ました。
当時俺は8歳で思い返せば今から十数年前の話です。
母と車で学校や友達の話、テレビの話等をしながら
山中にさしかかりました。
山を抜け、慰霊碑近くに来るとうっすらと霧がかかってきました。
慰霊碑の横を通り抜けたとき異変が起こりました。
慰霊碑の近くにしゃがみこんだ血だらけの子供と目が合ったのです。
そのとたん
ドンドンドンドンドン!!!!
いきなり無数の手が近付いてきて窓を叩き出すのです。
俺は怖くて何も出来ませんでした。
手首から先位の手のひらが無数に窓ををノックしていて
すごい恐怖でした。
ドンドンドンドンドン!!!!
ドンドンドンドンドン!!!!
ドンドンドンドンドン!!!!
ドンドンドンドンドン!!!!
母にも音は聞こえるみたいで
『やめなさい!』と注意されましたが
俺でないのでなんともできません。
『ちゃうねん、何もしてへんけどなんか手がいっぱい叩いてる!』
混乱してこんな事を言ったと思います。
すると母は
『そうか、あんたもか。。。。もう少しやから我慢し。』
そう呟いて車を飛ばしました。
薄い霧をぬけると同時に手も消えました。
「あれなんなん?怖かった。」
と言って母に問いただすと
母は
「昔この辺で電車の事故があったんやで、お母さんが学生のときで
お母さんも良く使ってたんや。お母さんの知り合いの車掌さんも死んだし
知り合いの人も何人か怪我しはった。その幽霊が居るらしいんやけど
私には良く分からんわ。霊感が無いからな。姉ちゃんに聞いて見るといいわ。」
その後5分くらい無言でドライブが続き、母の実家に着きました。
実家について軽く挨拶をし、
仏壇を拝んで今に戻るなり母が
『Sが慰霊碑の前であれ見たらしいわ』
と言いました。
母の姉が直ぐに来て、
『怖かったやろ?
でもあれだけはお払いでなんともならへんさかい我慢しゃんとあかんな。
でもアレは悪いもんやないんやで
やさかい、次にみてもそんなに怖がる事はいらんからな。』
と言ってアレが何なのかを説明してくれました。
母の姉曰く
あれは昔高原鉄道の事故の犠牲者の物らしいです。
ですが、別に死んだものではありません。
俗に言う生霊という奴だそうです。
事故で怪我をした人が数百人も居たそうで
治療や救急車の台数が追いつかず、
痛みに耐え切れなかった人たちが
『病院まで乗せて行ってくれ』と
そのあたりの車に手当たり次第頼んでいたそうです。
結局事故で死んだのは30人でしたが
怪我をした人は数百人もおり、
その人たちの念らしいのです
たくさんの人が一度に一つの願いをしたため
その為の思いがずっとあの場所に残っているそうです。
生きた人の念の為お払いなどは出来ず、
今後もどうする事も出来ないそうです。
その話を聞くと悲しくなってきました。
唐突に母の姉が『女の子見たやろ?』と言い出しました。
自分は見た事を伝えると『やっぱりね。』と姉は言いました。
どうやらあの女の子が念の塊らしく、
特に子供の願い、念というものは根付きやすいそうでう。
唯一完全に具現化したあの子と目が合うと、
あの子があの頃の情景を思い出し、
ドライバー達に見せるというのです。
すなわち女の子を見なければ、手が現れないそうで、
女の子は霊感のある人でないと見れないそうです。
特に女の子は強い念を持って存在しているため
少しの霊感でも波長が合えば見えるそうです。
目が合えばそれで他の波長とも合ってしまい
あの情景が見えてしまうのだそうです。
これが俺の始めての霊体験です。
それ以降、母は実家に帰るとき回り道して
帰ってくれるようになりました。
3年ほど前にその道を通ったのですが
相変わらず霧はあるもののあの子は見えませんでした。
これが俺の始めての心霊体験です。
怖い話投稿:ホラーテラー くろ1415さん
作者怖話