【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

開かずの間の向こう

15年くらい前の話です。

その年、我が家は念願の一軒家に引越しました。

新築ではない貸家にせよ、今まで暮らしていた狭い社宅と比べれば、まるでお屋敷でした。

私も今まで兄弟一緒だったのが、自分一人だけの部屋を与えられて、とても嬉しかったのを覚えています。

ただ、その家の2階の奥に、鍵のかかった、何をどうやってても開かないドアがありました。

家の構造から考えても、そのドアの向こうにもう一つ部屋があるはずなのです。

鍵を取り付けたであろう前の住民とは連絡がつかず、鍵はどこなのか不動産屋もよく分からないそうなのですが

別に部屋が足りていないわけではないし、その部屋を使うとしても物置になるだけなので

我が家のいわゆる「開かずの間」に関しては、そのうち業者に鍵を作ってもらおうと

家族も特に気には留めていませんでした。

ところが、その家に暮らし初めて数週間後。

何やら、やたら寝苦しいことに気付きました。最初は気のせいだと思っていたんですが

眠ってる間に感じる、頭の重さというか違和感が毎日毎日続けば、さすがに気のせいだとは思えなくなってきました。

違和感を感じてるのは私だけではなかったようです。母ですが、様子がおかしくなってきました。

目つきがだんだん虚ろになってきて、家事やらなんやらの失敗をすることが多くなりました。

母いわく、寝つきが非常に悪く、寝苦しい日が大変多い。私よりもっと酷かったみたいです。

ほとんど眠れない日もあり、気分はずっと沈んだままだったようです。

医者に行った結果、やはり鬱病でした。

母が鬱で倒れた数日後、父も持病が悪化して入院せざるを得なくなってしまいました。

その入院先の病院が父の実家の近くだったこともあり、家は暮らして数週間で引き払いました。

すると、不思議なことに母も父も病状がみるみるよくなり

父に至っては、長年患っていた持病が嘘のように軽くなったのです。

母も、ほんの軽度の鬱だというところまで回復しました。

家族で「もしかしたら、あの家には何かあったのかなー」と冗談交じりに話していました。

実家で暮らし始めて、しばらく経った頃。我が家に1通の手紙が舞い込んできました。

差出人の住所は、例の家のものでした。

私たちが去ったあとに引っ越してきた人たちが送ってきたようなのです。

中にはこんな感じで書かれていました

「2階の奥の部屋をあんな風に閉ざした理由を教えてください。これから住むので聞いておきたいです。

あの部屋を子供部屋にしようと思いましたが、閉ざされており鍵がないので無理矢理壊してこじ開けてみましたら

目玉をくり抜かれた沢山のフランス人形と、切られた人形の髪が床に散乱していました」

と。

それを読んで全身に鳥肌がたちました。あの奥に、そんな空間が広がっていたなんて。

床に埋め尽くされた、目玉のない人形と髪の毛を想像したら、震えが止まらなくなりました。

あそこまで震えあがったのは、恐らく後にも先にもそれくらいです。

私たちはそんなことを知らなかった、ということを現住民の方に早速伝えたら

やはり彼らもすぐその家を引き払っていったようです。

あの家は、床に散らばっていた人形は、一体なんだったのでしょうか

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
0
3
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ