俺が小学生の時に、何をしても自分の間違いを認めないやつがいたんだよ。
所謂、自己中とか、エゴイストとか呼ばれる類で、明らかに悪いことでも、非は認めないわ、自分が正しいと正当化するわで、クラスの奴からはものすごく嫌われていたわけ。
んで、クラスのみんなで無視して、あいつが間違いを認めるまで一切口を聞かないってルールを作ることになったんだわ。
最初はあいつもこたえてなかったみたいだけど、一週間くらい経ってくると、なんか、無口になっちゃってさ。
そろそろ潮時かって話になって、話すことにたんだ。
「いいか、お前が今受けている苦しみは、今まで自分勝手に我が儘を言ってきた、報いなんだ。これに懲りたらさ、間違ってることは素直に認めてくれよ。難しいことじゃねーだろ?な?」
無視しようと言い出したやつがそうやって、あいつに語りかけるんだけど、あいつは依然、無視無視無視。
「無視したことは悪かったよ、んでもこうでもしねーとわかってくれないだろ」
何を言っても聞いている様子はない。んでも暫くしたら、
「・・・ごめん」
と、か細い声で謝る。
「分かってくれたか!んじゃ仲直りに握手しようぜ。」
無事解決、めでたしめでたし。誰もがそう信じて疑わなかった。
その後は何事もなかった。そんな出来事嘘だったみたいに。
んで卒業して、みんなバラバラになって、20になって成人式の一週間前にさ、メールがきたんだ。
『小学生の同級生で同窓会やるから、参加する人は返信して!主催者○○より。』
○○っていうのは意外や意外、あの元自己中のあいつだ。
久々にあいつらと会えるってテンション上がって、参加したんだ。
顔はほとんど昔のまんまで身長だけのびているやつとか、結婚しちゃってるやつとか、色々いたんだけど、そんなかで主催者のあいつは、なんかこう、大人っぽくなったんだけど、子供らしさもある、みたいななんとも言えない雰囲気だったんだ。
んで、一次会も終わりに近づいてきたころに、あんときのいじめ話になってさ、
『いゃーあんときはまじごめん。もっと違うやり方もあったのに無視とかしちゃってさ。』
いじめの首謀者だった、あいつは、いっちょまえに生やした髭を触りながらペコペコ頭を下げてて、
『部下と上司みたいだな。このやり取り(笑)』
『頭を下げるのだけは一流だなリーダー。』
とか、周りでクスクス笑いながら茶々いれられてて。
んであいつの反応というと、
「まぁ、おあいこだろ。痛み分けってことでさ。そんなことより飲もうぜ。」
とか、大人びた返事でさ、
まじこいつ変わったなあって感心してたわけ。
んで一次会がおわって、二次会!って気分でいたら、
「ごめん、ちょい用事あるから、二次会はいけないわ。」
と、主催者のあいつが言うんだわ。
「しゃーねぇなあ、んじゃ○○抜きで二次会いっちゃいますかー」
と、そそくさと、次の飲み場にいくやつら。
俺は一言あいつに
「今日は楽しかったわ、また今度飲みにいこうぜ」
と言うと、あいつは静かに頷いて手を降ったんだ。
最後なにか言っていた気がしたけど、俺も結構酔っていたから聞き取れなかったんだ。
んで、数週間経って、あいつと飲みにいくかって思ってメールしたんだけど、返信がこない。電話しても出ない。
おかしいな、と思って小学んときの連絡表探してきて、そいつの自宅に電話してみる。
「もしもし」
母親らしい声。
「あ、○○君の家ですか?先日同窓会で一緒だった小学の時の同級生です。○君いますか?」
「・・・人違いでは?」
「え、覚えてないですか?○小の△ですよ。」
「あー△君、久し振りね。」
生気が感じられない弱々しい声で返ってくる返事。
「はい、何年ぶりですかねぇー。んで、○君は家にいるんですか?」
数分くらいかな、沈黙が続いて、聞こえてきた返事は
「いるも何も○○は死んでるよ。何年も前に。」
「え!」
思わず声が出て、途端に背筋に寒気が走る。
あいつは死んでいた。しかも、中学にはいって数ヶ月経った日に。
なんでも、脳に重大な損傷があって、長く生きれないと言われていたらしい。
あいつは、きっと受け入れたくなかったんだ、死ぬことを、そして妬ましかったんだろう、普通に生きている俺たちを。
そう思ってたけど、違った。
あいつは死ぬ前にこう言ったらしい。
「俺が死んでも誰にも言わないで。俺は自分が正しい道を歩んできたと、みんなに自信をもって、言う自信がないから。あぁー今度生まれかわったら協調性っていう言葉が似合うやつになりたいな」
あいつは、ずっと一人で背負っていたんだ。
そして再び俺たちの前に現れたんだ。
それを知って俺は泣いた。不甲斐なかった。やるせなかった
終わり際あいつは何を言っていたんだろう。
怖い話投稿:ホラーテラー ロリチョンさん
作者怖話