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中編4
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実家だった家

さして、怖くもないかもしれないが…紛れも無い事実であり、オレにとってはあの家は悪夢の存在。もし、あのまま住んでたらオレも死んでいたかもしれない。

うちは、母子家庭でオカンは水商売しながら、オレを育ててくれた。小さいながらにも、自分の店と借金まみれになりながらも土地付き一戸建てを建てた。職業蔑視や世間ずれしたオカンの生きざまを批判する人もいたが…今となっては尊敬。ニートやヒッキー、自分の事しか考えられない拝金主義のヤツらと比べたら彼女は素晴らしいと思う。

で、実家の話。

オレが中学生に上がる頃、うちのオカンは一戸建てを建てた。家族は、オカンの父親、オカン。そして、オレの三人。

二階はオカンとオレの住居スペース。一階には、仏間(お祖父さんの部屋)居間、そしてダイニングキッチン。廊下を挟んで風呂とトイレ。

ただ、自分の部屋を用意してくれた事が嬉しくて、嬉しくて引っ越したのだが…。

引っ越し後、程無くして祖父が死去。全てを終えた葬式の後、誰もイナイ筈の祖父が居住してた仏間から、チーンと仏壇のカネを鳴らす音が…(サスガにオレの祖父の葬式。散らばってたオカンの兄弟夫婦や従兄弟達が顔を連なせた)居間に響いた。

「お父ちゃん、寂しがってるわ」と仏間と居間を隔てる襖をオカンが開けた。

一度は静まりかえった沈黙を紛らすかの様に、祖父を懐かしむ思い出を皆が語りはじめた。

ここで最初の一人目が亡くなった。

引っ越しするなり、2週間を待たずして、祖父の死去。転居早々、いきなりの葬式。

葬式もつつがなく終えたある日の事。

自分が学校から帰る頃、母親は仕事に出掛けます。家は自分一人になりますので、用心の為に必ず鍵を掛けます。

テレビを観はじめた夜9時頃、

「ガラガラガラ…」

っと玄関を開ける音がしました。

「忘れ物をした母親が戻ってきたのかな?」

って思ったのですが、鍵を開ける音はしませんでした。

「テレビに夢中になりすぎて聞こえなかっただけかな?」

って思いました。でも、いつまで経っても部屋に入ってくる物音も気配もありません。

「おかしぃナァ?」

なんて呑気に構えてたのですが飼ってる犬がトットットって玄関へ歩きだすなり、キャンキャン吠えだしました。

「ヤバい!泥棒か?」

瞬時に自分なりに対応策を考え、無謀にも包丁で応戦するしかない(笑)と決断。すぐさま、包丁を握りしめ、玄関へ向かいます。

そこには、玄関に向かって吠えまくる犬の姿がありました。

不審者が入ってきたのなら、犬なりに、不審者の後をつけ回ったり、噛みつくなり行動にでるハズ…。

でも、気配もなければ物音もしません。ですが、犬は絶えず玄関に向かって吠えています。

「んんっ?」

拍子抜けすると共に、安心したのですが、明らかに犬の行動は変です。犬には見えているのかもしれませんが、私には見えません。

幽霊をはじめオカルトの類いは信じてない自分は、犬をなだめながら抱き上げ、テレビを見てた部屋に戻りました。

程無くして、また

「ガラガラガラ…」

っと玄関を開ける音。

状況は先程と一緒で鍵を開ける音、犬の挙動も然り、誰かが入ってくる様子はありません。

「一体、何やねん!?…体調悪いんかもしれへんナァ?…もう寝た方がエェかもな…」

二階の自室へ行き、ベッドに身を委ねました。

すると、またもやガラガラガラっと聞こえます。

「エェ―ッ!? またかいッ?」

自分に言い聞かせます。

「気のせい、気のせい…」

しかし、今度は違います。

「キィ―――ンッ!!!」

耳鳴りがしたかと思うと、産まれて初めての金縛り。動揺しながらも

聞こえくる足音に気づきました。

「ミシッ…ミシッ…」

確実に誰かが二階に上がってくる気配がします。

「ウソやん? マジで…?」

心臓バクバク、身体は動かないけど目は開けれるし、動きます。でも、怖いので硬く瞼を閉じてました。

そんな中にも冷静に考える自分が居て、部屋のドア、先程の事もあったので鍵は締めてある。

「簡単には入ってこれまい。」

恐怖の中にも、たかをくくってました。

「それよか、なんで?このタイミングで金縛りやねん!?」

自分が情けなくなりました。そんな中、ドアを開けて誰かが入ってくるイメージが頭に浮かび上がりました。

何故か、目を開けてしまいました。オレンジ色の豆電球に写し出された部屋に、黒い人影が…。

「殺られる…。」

気づけば、朝でした。

どうやら、生きてる。

「だったら、昨夜のあれは…?

夢にしては、リアル過ぎるし、怖かった。しかも、人影は確実に見た。

釈然としないまま、階段を降りてキッチンへ…。

そこには、すでに朝食を用意する母親がいた。

自分を納得させたくて、なんとなく昨夜の一連の出来事を話はじめた。

母親は背中でオレが話す全く意味不明な話を聞いた後、

「ふぅ~ん」

と興味なさげな言葉を返してきた。

「まぁ、仕方ないか…フツーにありえへんからナァ(笑)」なんて思ってた。

そんなやりとりを交わした日の夕方。学校から帰ってみると…、玄関の真上に御札が貼ってある。

「玄関の御札、何なん?」

母親に尋ねてみると…どうやら、今朝の話を聞いて母親なりに確信したらしい。

この家には、この世のモノではない何かが棲んでると…。 すでに、早くから感じてたらしい

…。

まぁ、これで安心できると思いきや…そんな簡単に解決する筈も無く、更なる犠牲者がでるとは…。

この時は微塵も思いもしなかった。

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー ヤンヤンさん  

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