兄が喘息発作を起こし、集中治療室に一週間入ったときの話。
意識が戻ってすぐの兄は言葉がたどたどしく、まるでボケ老人みたいな危うさで怖いと言った。そしてゼリーが食べたいとも言った。
兄は集中治療室で怖いものを見たらしい。
夜中、担当医と看護士が目からレーザー光線を出して見回り来るのだそうだ。そしてその光線で兄の周りのベッドに横たわる末期患者の口許を照らす。すると何故か患者の口が開いて、そこに医師が自分の口から出したゼリー状の物体を流し込んでいるのだと。看護士はその間、患者の体をめちゃくちゃに殴っているのだと。
光景は恐ろしくてたまらないのに、そのゼリー状の物体がおいしそうで、食べたくて仕方ないと兄は漏らした。
完全にいかれたと思った。
兄は一般病棟に移ったあともそんな戯言を繰り返し、内科から精神科に移されたあと、退院した。
多分全部夢だけど、甘いものが嫌いだった兄が、それから毎日ゼリーを食べるようになってしまったのは現実。
長文のわりに怖くなくてすいません。
怖い話投稿:ホラーテラー 合法さん
作者怖話