先日はいわくのない部屋を読んで頂き、ありがとうございました。
創作作品を思いのほか、たくさんの方々に評価して頂き、驚きました。
また、注目ランキング1位まで獲得する事が出来て嬉しい反面、実話主義の僕としては複雑な気持ちでした。
これからは創作作品も認めつつ、このサイトの質の向上を目指し、たまに投稿させてもらいます。
とかなんとか言っても、実話主義の紅天狗。
今回のお話も実話です。
あれは僕が中3の夏でした。
その頃の僕は所謂、ヤンキーに憧れた勘違い少年で、シャーペンの芯並に細い眉毛に剃り込み、ハンドルと荷台をあり得ない角度に反り上げた自転車に乗って青春を謳歌していました。
当時、僕は学年でも浮いていた存在で、仲の良い友達は2人しかおらず、彼等も勿論痛いヤンキーでした。
いつも3人で集まって悪い事や悪いをしていました。
そんな夏のある日、先日のお祭り会場で久しぶりにあったO先輩に呼び出され、先輩の自宅に伺いました。
自宅と言ってもO先輩は若干16歳にして、安アパートに彼女と同棲をしていました。
このO先輩は僕の町はおろか、隣町や遠く離れた町にまで、名を轟かせる程のどヤンキーでして、通り名は熊殺しのO。
もはや周りには敵はおらず、熊でさえ殺せると付いた名前でした。
ヤンキー崩れの僕等は、そんなO先輩にかわいがってもらえるのはヤンキー界のステータスであり、誇りでした。
ちなみに当時、僕の通り名は電光石火の祐。
頭に血が上るのも、手が出るのも、逃げ足も1番早かったからです。
O先輩のアパートに着くと中に通されました。
部屋の中には彼女さんもいて、ベッドで横になっていました。
彼女はえらい薄着で、童貞3人組にとっては刺激的だったのですが、あまりジロジロ見ると先輩から焼きを入れられるので、見ないようにしていました。
5人で馬鹿話をして盛り上がっていると、ふいにO先輩が、
「お前らに、良いもん見せてやらぁ。」
と、キッチンの方に向かいました。
それを見て、彼女さんは、
「やめてー。それだけはやめてー。」
と、泣き叫びました。
僕等は何が起きたのか訳がわからず、彼女さんの泣き叫ぶ姿に動揺していると、O先輩は冷蔵庫から味付けのりの大瓶を持って来ました。
透明の瓶には味付けのりではなく、赤黒い何かが入っていました。
初めまはソレが何かはわからず、顔を近付けて良く見てみると、
それは赤ん坊でした。
若い2人には育てる事も出来なかったのでしょう。
彼女さんは部屋で身ごもった子を1人で産んだのです。
あれから10数年、ついこの間O先輩に出くわしました。
彼の足元には、赤ん坊がまとわりついていたのは言うまでもありません。
怖い話投稿:ホラーテラー 紅天狗さん
作者怖話