都会に出た親友のNが実家に帰って来てるらしい。
そうか…もうそんな時期か!
酒もツマミも揃ってるそうだし…久々にバカ騒ぎでもしてやるか!
玄関先でNの婆さんに会う。
婆さんは可愛い孫が悪友とつるむのが面白くないのだろう。
怪訝な顔をして部屋に逃げ帰ると、ピシャリと襖の戸を閉めてしまった。
Nは自分の部屋へと案内してくれた。
廊下で、缶ビールとツマミを持って階段を昇っていく女性とすれ違う。
なんだよ、Nの奴…いつの間に彼女が出来たんだ?
しかもこれって同棲……っ!?
Nの顔を見ると、妹だよと教えてくれた。
嘘だろっ!?
…確かに面影はあったが、少し見ない間に随分と大人っぽくなったものだ。
挨拶も無く、目も合わせてくれない妹だったけど…
部屋に入ると、Nの机の上には缶ビールとツマミが置かれていた。
…あれか、妹はツンデレ系なんだな。
俺はその後、Nの家で明るくなるまで飲み明かした。
最高に楽しい一日だった。
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「お婆ちゃん、ビールとツマミ…置いて来たよ」
部屋に入ると、お婆ちゃんがお兄ちゃんの仏壇の前で手を合わせていた。
「あぁ、ありがとうねぇ。」
私のお兄ちゃんはドライブ中に運転を誤って追突。
一緒に乗っていた友達も巻き込んで死んでしまった…
もう5年も前の話になるかな。
「きっと今頃、あのバカたれ小僧と楽しんでる頃だろうよ」
「お婆ちゃん…そんな事言っちゃ駄目だって!」
「アイツがあの子を死なせたんだよぉ…あんなモン背負っとるから……」
ま~た始まった…
私はブツブツ呟くお婆ちゃんを置いて、両親のいる部屋へと戻った。
「あのバカたれ小僧…死んでもまだ背負ってんのかい…。余程、あの女に気に入られたんだねぇ……」
※この物語はフィクションです※
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話