これは僕の実体験です。
僕は霊感や超能力があるわけではないが、毎日のように不思議な出来事に遭遇する。
これはその中のひとつ。
僕が小学生中学年だった頃だ。
父が仕事中に大怪我を負い、長期入院した。
建築系の職業であり、安全に細心の注意を払う父だったのでとても衝撃的だった。
母は毎日昼から夜までお見舞いに行き、僕は家で下兄弟の世話をするべく留守番を預かっていた。
最初こそは大変だったが慣れるとそうでもないものだった。
ただ、ひとつとても困ったことがあった。
5年近く金魚を飼っていたのだが、その金魚が餌を一切口にしてくれないのだ。
決まった時間に、規定量をあげても餌に見向きもしないどころか避けてしまい、水が濁るばかりだった。
そしてとうとう、一匹、また一匹と金魚が死んでいく。
勿論餓死だ。
母は「父が世話していたから、他の人じゃ駄目なのかも」と言った。
金魚でも人の顔を覚えるらしい。
僕も納得し、僅かばかり嫉妬した。
そして全滅するのはあっという間だった。
大切に世話をしていた分、ショックも大きかった。
それからだ。
僕の家では水の生き物を飼うことを禁止するようになった。
理由は簡単だ。
どんなに手を尽くして世話をしても3ヶ月と持たずに死んでしまうのだ。
あのあと父が退院してから暫くしてからまた金魚を飼いはじめた。
すると、一週間もせずに全滅した。
その後も、金魚、メダカ、ザリガニ、タニシなどの貝類のはてまで色々飼ってみたが全て全滅した。
同時に、水の生き物を飼いはじめると家族間での運気が悪化した。
喧嘩が絶えなくなり、お金の巡りも悪くなり、怪我も増え、とにかく良くないことが続く。
しかし、飼っていた生き物が全滅するとぴたりとそんなことがなくなるのだ。
これが2、3回ならば偶然と言えるかもしれないが毎度毎度なのだ。
もはや疑う余地もなく、水の生き物との相性が最悪なのだ。
何故そうなったのかはわからないが、あの金魚はなにか思うことがあったのかもしれない。
後日談、と言ってはなんだが
一昨年、実験というわけではないがメダカ15匹、ザリガニ1匹、オカヤドカリ(陸で生活するヤドカリ)4匹を同時に飼いはじめた。
ザリガニは3ヶ月で死に、
メダカは一時期繁殖したもののすぐに全滅。
しかし、水の生き物ではないオカヤドカリは今だ元気に成長中である。
ちなみに、その時期に僕は聞き手首を骨折し、
両親は夫婦喧嘩が絶えず、兄弟仲も悪化し、
家族崩壊になりかけた経緯などもあったがそこは割愛する。
怖い話投稿:ホラーテラー 慎英さん
作者怖話