車で彼女を送り届けた帰り道の深夜
道端の自販機の前に女が独りで立っていた
雨の中、雨宿りでもしているかの様に思えた
深夜なのか偶々なのか車の通りもない
可哀想に思った俺は、トランクに乗せっぱなしのビニール傘をあげようと車を停めた
トランクを開け傘を掴んで女に走り寄った
女は「ありがとう…」と小声で独り言の様に言い、傘に手を伸ばしてきた
「!」
女は傘を持つ俺の手首を掴んだ
驚きながら女を見たら…
ニタニタと笑っている
ゾッとした…
掴まれた手を振りほどく様に力を込めたがビクともしない、万力に締め付けられたかの様に手首が痛い
女は笑い顔から真顔に変わり俺を見詰めた…
イキなり女の頭が左右に揺れだした、嫌々をする様に左右に振ったのではなく、左右に揺れているのだ
揺れは徐々に速くなりビデオの早送りの様だった
女の頭が止まった…瞬間、『コテッ』っと自らの女の肩に落ちた
落ちた様に感じた
今考えれば信じられない角度である
まるで頭を支える全てのモノが無くなったように、完全に肩に頭が乗っている
「キャハハ…」と横向きになった女の顔が大きな口を開けて笑う
恥ずかしながら腰が抜けた
その場に尻餅を着き、怖くて目を閉じた
恐る恐る目を開けると女の姿は無かった…
ビニール傘だけがその場に落ちていた
1週間程、赤黒い手首ついた手形の様な痣は消えなかった
もう二度と、深夜に独りで立つ女に近付く事はしないと誓った
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話