中編4
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実家だった家 Ⅳ

「実家だった家」の最後です。

さして、怖くもない話に付き合って頂き、ありがとうございます。更には、コメントまでしてもらって、なんか…スミマセンッ!って感じです。

脚色ナシの実話の続きです。

残念ながら、犬は母親(オカン)の知り合いの所に譲られました。何故なら、意味無く、無駄吠えするからです。(

前述の事があった為)

分かってるンです。何故に吠えるかを…オカンもオレも。

新築一軒家に二人住まい。(母子家庭だったので)

そんな出来事があったのにも関わらず…ちゃっかりオカンは、新しいオトコを見つけだしました。

窯業関係の仕事を営む会社の社長サンでした。

さすが女です。世の女性に、ご多分洩れない経済観念を持ち合わす、頼もしい母親。

オレは正直(中学生、いや小学生の高学年にもなると親離れしますよね?)

、その存在に感謝しました。何故なら、一人っ子なだけに、今後のオカンの人生に不安と(残酷ですが子供なりに)負担を考えてたので、心強く嬉しく思ってました。

でも、世の中うまくは行きません。

オカンの彼が経営する会社は、みるみる間に赤字経営に転落。(バブル崩壊した90年代)

オカンと彼の間柄は不倫関係…にも関わらず、会社の借金を肩代わりする為に、新築一軒家を担保に銀行から借金。

「これから、なんとか二人協力して地味に返済すればエェ~んちゃう」って楽観的に構えてました。

でも、この時には既に、母親の彼はガンに犯されていたのです。

これが、二人目。

オカンと出会って一年もしない間に亡くなりました。

この事実を体験した時、とんでもナイ貧乏クジを引いたオカンを悲しく思いました。

何故なら、オカンの女学校時代、将来の仕事として教職に就く事を夢みて大学進学を目指すも、家庭環境により、やむなく新聞会社へ就職。やがて、オカンは実家への仕送りプラス都会住まいにはお金が掛かるって事で水商売に転職。

それなりに生計を立て、懸命に働いてる時にオトンと巡り合い…オレが産まれました。

フツーなら、子供も出来た事により、更に夫婦互いに力を合わせて良い家庭を築くものでしょうが、うちは違いました。

オレが産まれるや否や、オトンのDVがもとで二人は離婚。それ以降、女手ひとつでオレを育ててくれました。

それ以降の生活は小さい頃は気付きませんでしたが、それなりに小学生の中頃にもなると分かりだします。昭和時代の事。職業蔑視、母子家庭への差別は肌で感じてました。

オカンもオレも、蔑まれながらにも、いつか見返してやる!って思いで頑張ってきました。

その甲斐あってか、オカンは土地付き一軒家を建てました。(身内ごとで申し訳ありませんが…オカンを尊敬します。)

ですが、手に入れた家はとんでもなく…不吉極まりない場所でした。

その証に引っ越しするなり、祖父が死去。

オンナの幸せ見つけた!と思いきや、愛する人をガンで無くし、借金背負う事に…。

そんな中でも、逞しく生きていこうとするオカンを思春期特有の冷めた感情と妙に知ったかぶりする世間知らずの無責任な感情で見下してました。ある意味、オカンは愛する父親、彼氏も息子からも孤立

してしまったのです。

そんな中、オカンは悲しみを仕事で紛らわすように、働きます。

でも、長くは続きませんでした。

まだまだ働き盛りの中、オカンもガンに蝕まれてたのです。

その頃、体調を崩しました。かかりつけの町の個人病院に通ってたのですが、いっこうに良くなる気配もなかったので叔母の薦めで有名な国立病院で診察してもらう事に…。

結果は「子宮ガン」でした。

もはや、肺にまで転移してるらしく…。

(これを機に、貯金を使い実家を離れて独り暮らしを始めました

)

程なくオカンは、亡くなりました。

病院で診断結果を聞いた時には、一晩中泣いたからでしょうか?

葬式の際、涙を流す事もありませんでした。

それよりも、オカンの残していった莫大な借金の事しか、アタマには、ありませんでした。

残酷ですよね…人間って。

でも、生きてる限り、明日の事、将来の事。

自分なりの幸せを求めて生きていかなければならない。 もはや、骨と化した母親にできる孝行としては、念仏とオレがオカンの分まで幸せになる事。それが、供養になるのかも…。ポジティブに生きていこうとしました。

でも、世の中

そんな甘くナイ!

あの家の呪い?…プラス財産放棄で借金からは逃げきれたものの、借金させられた人達の恨みからは解放されてないようです。

現在、無職の40才。

いまだ、活路は見い出せないまま…。

あの家では、三人が文字通りバタバタと死んでいった。

運良く、死なずに済んだものの…、生地獄。

あの土地、あの家に住まなければ…むしろ、あのまま住んでた方が…。

読んでくれて、ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー ヤンヤンさん  

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