地元にあるトンネルの話。
そのトンネルは昔から幽霊目撃談がある場所で、「七十塚」という場所にあった。
トンネル自体で事件や事故があったわけではないが、その土地がいけなかったらしい。
「七十塚」という名前は昔、殿様に背いた侍が、体を70に切断されて処刑されたことに由来するらしい。(うちのおばあちゃんに聞いたので真偽は不明)
また、50年程前に起きた水害で、70人が生き埋めになったなどいわくつきの土地だった。
通勤でそのトンネルを通ることが多かった友達がある夜、興奮して電話をかけてきた。
「今トンネルにすげーのいた!
ガリガリの女がクロールみたいに手で空気をかいてこっち向かってくんの!
こっちくる!こっちくる!うわ!包丁持ってる!」
興奮状態の友達をなだめて、トンネルから出るように言った。幽霊でも怖いが、人間だったらやばいことになりそうな気がしたからだ。
「もう大丈夫。
今バックしてトンネルの外出たらいなくなった。」
「バックで出たらまたトンネル入らなきゃ帰れないじゃん」
「だってすれ違うの怖いじゃん!大丈夫。もういないみたい。念のため、トンネル出るまで電話してていい?」
エンジンのかかる音がした。
「やっぱり出るんだな。ここ。あー怖かった…
あ、雨降ってきた。」
かすかに音楽が聞こえる。カーステレオだろうか。
そこでおかしなことに気付いた。
「雨って、
今トンネルの中じゃないの?」
その直後電話が切れた。
怖い話投稿:ホラーテラー 合法さん
作者怖話