短編2
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火事になったホテル

ある会社員が出張先のホテルに宿泊することになった。

そのホテルは内装が豪華な割に宿泊費が安く、男が勤めてる社員がこの辺りに出張となると、ほとんどの社員がこのホテルを利用する。

この男もその一人である。

しかし男の表情は暗く、豪華さを喜ぶ余裕などなかった。

男は出張してくる前に、同じ会社に勤めている先輩にある噂を聞いていたのだ。

その噂が男の表情を暗くさせていた。

噂とは、「あのホテルのある部屋に、幽霊が出るらしいぜ。」と言うものだった。

普通の人は頭の隅にいれておき、そしていつの間にか忘れそうなものだが、この男は違った。

この男は極端なほど怖がりだった。

先輩もこの男が怖がりなことを知っていた。なのでからかうつもりで噂を教えたのだが、それが男には効果絶大だったらしい。

男は「幽霊なんて気にしてたら仕事なんて出来ない!」と自分自身に言い聞かせていた。

夜になり、男が布団の中で寝ていると、

ドンドンドン!ドンドンドン!

ドアを叩く音で目が覚めた男は時計を見て時刻を確認した。

時刻は午前2時。

男は気味悪く思いながら、ルームスコープを覗いた。

誰も居ない…………

だがドアを叩く音は強くなるばかり。

ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドンドン!

男は腰を抜かし、ガクガク震える腕で自分の体を引きずって布団に戻った。

男は布団をしっかりと覆い被り、気絶した。

翌朝、男は昨日の事を思いだし、そそくさとホテルを出た。

後日、先輩にその事を話すと、

「ヘエ~。ホントに出たんだ。実はな、昔あのホテル火事になってさ、それで逃げ遅れた人が数人いたんだって。んでその人達が化けて出るんだと。」

「まじすか!?いや~開けなくてよかった~。」

「何で?だって逃げようとしてたんだから幽霊は内側だろうが。」

Concrete
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