長文です。
我が家では家族、近親者の祝い事があるたびに集まり、ちょっとしたパーティーをしていた。
私が家族と離れ仕事のため単身上京して半年ぐらいたった頃だろう、一人寂しく暮らす日々にめいっていた私のもとに手紙が届いた。
母からのもので「元気にやっていますか?」という内容のものと、先日行われた祖父の誕生日祝いの集合写真が同封されていた。
家族をこいしく思いながら数枚あった写真に目を通していた、するとその中の一枚に違和感を覚えた。
楽しそうに笑う家族をリビングで撮影した集合写真の背後の窓に顔のようなモノが写りこんでいた。
眼鏡をかけて、よぉ~く見ると写り込んだ顔は1つではなく無数に写っていた。そしてはっきり見てとれるモノに関しては憎悪にみちた表情をうかべていた。
道路沿いに面したその窓は外からでも写真のように写り込むことは可能だが、あきらかにこの世のモノでないことは見てとれた。
私は恐ろしくなるのとともに家族の身を案じた。
すぐにでも電話を掛け、そのことを知らせようとしたが、まだ幼い妹に知れてしまってはかわいそうな思いをさせてしまう。
会社の同僚でお寺の娘がいて、その子が霊の類いに詳しいことは職場では有名だった。
早速、その子と連絡を取り写真を見てもらった。
見てすぐに、「あぁ~これは写っちゃってるねぇ~!」 と言われた。
そして、 「池かなんかつぶさなっかった?」 とも言われた。
幼いころの記憶をたどると、確かに家を建て替える前に庭に鯉などを飼っていた池があった気がする。
その子の話によると、池をつぶす際にちゃんとした供養などの順序を踏んでいないことが原因だと言う。
母だけに事情を話し、写真のネガと何枚か焼きまわしてある写真を送ってもらい、その子の指示のもと丁寧に供養した。
その後、家族にも何ら災いは起きてない。
建築関係の友人にその話しをしたところ、水周りの現場などでは特にそういったことには気を使うそうだ。
そして私の実家がある広島は原子爆弾が投下された時、水を求め川に飛び込んだ人々の亡骸が今でも川の底には眠っているという噂のような話を幼い頃から聞いていた。
少なからず、関係性はあるそうだ。
怖い話投稿:ホラーテラー イ・チョンスさん
作者怖話