二度目の実話。
私は某ネズミがあまり好きではない。それには理由がある。
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物心ついた時にはピエロの格好をしたそれが、リビングの時計の下に吊り飾られていたからである。
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時計の下に吊り飾られているそれは、顔と手足がぬいぐるみの様に出来ていて、帽子と体がツルツルした布で出来ていた。
体に骨格などはなく、スカスカの布だけで、だらーんといつもぶら下がっている。
そして、私が一人でいる時、その人形は笑っていることが多かった。
普段は俯いた様になっているのだが、ふと気づいてそれを意識してみる時、いつもこっちを向いていた。
手足もなんだかぐにゃっと絡み合っていることが多かった。
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今思えば奇妙な話なのだが、当時の私はそれが普通だと思っていたので、気にも止めていなかった。
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そんなある日、カカシと言う怖い話を聞いた。
物心ついた時から自分の部屋に飾ってあるカカシのような人形が有り、ある時奇妙な形をしていて、顔がにたりと笑っている。
気味が悪かったので部屋のぬしはそれを捨てることにした。
すると家族のものが一人亡くなったそうだ。
葬式を終えて帰ってくると、捨てたはずのカカシが同じように奇妙な格好をしてにたりと笑っている。
と言うものである。
何分、小さい頃なので詳細はあっているか分からない。
気になってネットで探したけれどそんな話が見当たらなかったので、友人の作り話だったのかもしれない。
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その話を聞いたとき、真っ先にリビングのあのピエロの格好をしたそれを思い浮かべた。
それ以来なんだかその人形を怖いと思うようになってしまった。
相変わらず、ふと気づくとこっちを向いている。
その視線を見たくなくて、人形を押入れに隠してみたことがあったが、次の日には、リビングに吊り飾られていた。
母が私の悪戯だと思ってご丁寧に戻してくれたのだ。
何となく、あぁ、無駄なんだなと思った。
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結局、私が二度目の引っ越しをする時までそれは飾ってあった。
さすがに引越しの際、ボロボロになっていたので処分をした。
長年飾ってあったこともあって、意図せず何かの祭りで神社行った時人形供養の場所に置いてきた。
それがよかったのかはわからないが今でも特にその人形について悪いことは起こったことはない。
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ただやっぱり、気持ちが悪かったので、某ネズミは今でも好きになれない。
作者白黒