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短編2
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寝言

うちの親父はよく寝言をいう。

ある夏の晩、俺は深夜まで友人と遊び、自宅へ車を走らせていた。

自宅に帰る途中にはAダムがあり、そのルートを通るのが一番早かった。

丁度Aダムの辺りに来たとき、カーラジオを聴きながら、ふと時計に目を落とすと深夜2時を回っていた。

早く帰ろうと思い、アクセルを踏む足に力を込めたとき、

橋の上を白いワンピースを着た女の人が歩いているではないか・・・

一瞬の躊躇の後、俺は車を停めた。

以前、友人が同じような状況で通り過ぎたら、二日後に不幸な記事が載ってしまった・・・

あの時停まっておけば・・・という話しを聴いていたためだ。

内心恐怖に怯えつつも車を降りて声を掛ける。

「あの、こんな時間にどうかなさったんですか?」

「・・・・・」

「良かったら、町まで送りましょうか?」

「・・・・・」

嫌な空気と寒気に一刻も早くこの場を離れたいと思った時、

女の口許が開いた、しかしボソボソと喋るだけで何を言っているのかは判らない。

「えっ、何ですか?」

そう言いながら近づくと、不意に女は俺にしがみついてきた!!

突然のことに俺はビックリしたが、驚いたのはそれだけではなかった。

女の体がこの世のモノとは思えない程に冷たかったからだ・・・

女は俺の耳許で囁いた、

「ここは暗くて冷たいの・・・」

俺は思わず目を閉じ、身体を強張らせた。

次の瞬間、女の身体は煙の様に消えていた・・・

俺はガタガタ震えながら車に飛び乗ると、アクセルを吹かしてその場から離れた

一秒でも早く家に着きたかった、

暫く走り、トンネルを抜けると町に着く、早く暗闇から抜け出したかった。

トンネルを抜けると直ぐに交差点がある、信号は青、アクセルを踏む足に力を込める、

その時、

「行くな~!!!!!」

車内に男の叫び声が広がった。俺は思わず急ブレーキをかけた

次の瞬間、信号無視の大型トラックがバンパーを擦るように通り過ぎていった・・・

一瞬の沈黙の後、俺は家に車を走らせようとした時、

今度は女の声が耳許で

「死ねばよかったのに」

と囁く声がした・・・

その後は幸い何もなかったのだが、次の日の朝食時、母親が親父に向かって

「寝言はイイけど叫ぶのは止めてよね~」

と話すと、親父が、

「スマン、夢んなかで○○が事故りそうになって思わず・・・」

という、会話を聞き、俺が

「それっていつ頃?」

と聞くと、母親が茶化しながら

「2時ごろじゃ?『行くな~!!!!!』だって(笑)」

と言ったが俺は笑えなかった。

やっぱアレだな、停まっちゃだめだな

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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